長期目線で青い鳥探し 20代に浸透する「ゆる転職活動」 勤務先にバレるとネガティブ評価?【キャリアカウンセラーが解説】

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2025年07月07日 07:20  まいどなニュース

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仕事をしながらなんとなく求人も探す「ゆる転職」 ※画像はイメージです(Peak River/stock.adobe.com)

入社して3年目を迎えたAさんは、風通しのよい職場で、やりがいをもって働いています。特に、今の会社に不満は抱いていないものの、スマホの画面にはいくつかの転職アプリが並んでいました。

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すぐに辞めるつもりはないけれど、自分の市場価値は把握しておきたいと思って登録しており、時間があればゆるく転職活動、略して「ゆる転職」にいそしんでいたのです。友人たちも「良い話があればラッキー」というスタンスで、情報収集を怠っていません。

ある日、Aさんのもとに大手IT企業からスカウトメールが届きます。オンラインでの「カジュアル面談」のお誘いでした。せっかくの機会なのでAさんは話を聞こうと思い、さほど乗り気ではないものの面談に臨むことにしました。

Aさんのように、今の会社に不満はなく退職する意思がないにも関わらず、面談を受けたりといった「ゆる転職」活動をする人が増えている背景には何があるのでしょうか。キャリアカウンセラーの七野綾音さんに話を聞きました。

ゆる転職をする若者を企業はプラスに見ていない

ー「ゆる転職」をする若者は増えていますか ?

間違いなく増えている印象です。転職サイトへの登録者数が増加傾向にあるのに対し、実際の転職者数はそれほど伸びてはいません。それだけ「今すぐではないけれど、良いところがあれば」と考えている「ゆる転職」層の拡大を示しているといえるでしょう。

若者の間で「ゆる転職」が広がっている背景には、大きく3つの要因が考えられます。ひとつは、終身雇用制度の崩壊に伴い、「自分のキャリアは自分で守る」という自衛意識を持った人が増えたこと。ふたつめは「この会社でなければならない」という会社への強い帰属意識の低下も考えられます。

スマートフォン1つで、いつでもどこでも膨大な求人情報にアクセスできるようになったのも「ゆる転職」の増加を後押ししている要因だと考えます。

ー「ゆる転職」をする若者のメリットとは

メリットは明確に2つあります。それは「リスク分散」と「機会損失の防止」です。会社の業績悪化や予期せぬリストラなど、何が起こるかわからない時代なので、常に外の世界にアンテナを張り、万が一の際に路頭に迷うリスクに対応しておかなければなりません。

また自分の知らない場所で、自分のスキルが今よりも評価される場所があるかもしれないと考え、機会損失にならないように登録している人もいます。「ゆる転職」を通じて情報収集を続けることで、自分の「市場価値」を客観的に知る良い機会にもなるでしょう。

ー企業はこのような活動をする人たちをどう見ているのでしょうか?

企業側は「ゆる転職」をポジティブには見ていないでしょう。むしろ強い警戒感を抱いているといっていいと思います。

採用した人材がまた「ゆる転職」を続ける可能性が高いため、せっかくコストと時間をかけても、「もっと良い条件の会社が見つかったので」といわれ、去られてしまう可能性があるからです。

企業側も安易な転職を防ぐため、社内での対話を増やしてエンゲージメント(働きがいや貢献意力)を高めたり、社員が自社内でキャリアと向き合える機会を提供したりと、人材の定着に力を入れる企業が増えています。

「ゆる転職」は、個人のキャリア戦略としては賢い一面があるものの、一歩間違えれば企業からネガティブに捉えられる点を認識しておいた方がいいでしょう。

◆七野綾音(しちのあやね)キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント

やりがいを実感しながら自分らしく働く大人を増やして、「大人って楽しそう!働くのって面白そう!」と子ども達が思える社会を目指すキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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このニュースに関するつぶやき

  • 一度裏切ったヤツは、また裏切る。戦国時代の常。企業は、ゆる転したヤツは、またゆる転することを警戒する。自分探し?青い鳥は結局どこにいたのかを知ってる?
    • イイネ!13
    • コメント 1件

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