三塁を回るロッテ・小川龍成[撮影=山下拓人] 「追い込まれていたのでもうなんとか食らいついていくだけと思っていました。ヒットになってくれて良かったです」。
ロッテの小川龍成は11日のオリックス戦、2−3の9回二死一、三塁の第4打席、守護神・マチャドが1ボール2ストライクから投じた156キロのストレートをセンター前に弾き返す同点の適時打を放った。
8月2日の西武戦以来のスタメン出場となった小川は、この日は第1打席が空振り三振、第2打席が左飛、第3打席が空振り三振、そして同点打を放った第4打席も1ボール2ストライクと追い込まれた状況だった。それでも、20試合連続無失点中だったマチャドからセンター前に安打を放ち、右手を突き上げ喜んだ。
◆ トルピードバットを使用
小川は6月29日のソフトバンク戦以降、バットの芯の部分が通常のバットよりも太くなっている“トルピードバット”を使用している。
トルピードバットを使用するようになった理由について小川は「できるだけポイントを近くしてという感じなので、手元に当たる方が多くなるのかなというのがあります。なので、まずはそこにバットの芯を持ってくるところ。ヘッドが手元にあった方が操作性が上がるので、自分はバットを上手く使いながらしっかりやっていくところだと思います。そういった意味でトルピードバットがあっているので使っています」と説明した。バットの長さと重さは、84センチ900グラムで変わらないという。
“トルピードバット”に変更してからのバッティングでは、7月15日のソフトバンク戦、2−6の7回無死一塁の第3打席、有原航平が2ボール2ストライクから投じた6球目の外角ツーシームをレフト前に弾き返す安打は“小川らしい”安打だった。
「しっかりヒットも出ているので、打ちにいけているところは、すごくいいところかなと思うんですけど、粘りだったり四球というところがまだ取れていない。追い込まれた後のアプローチだったり、もっともっとやっていかないといけないと思います」。
シーズンの打率は.220(100打数22安打)だが、トルピードバットに変更した6月29日ソフトバンク戦以降の打率は.281(32打数9安打)、4打点の数字を残している。
◆ 準備
今季はスタメンで出場したり、代走、守備固めといった途中から出場したりと、準備の難しさがあるようにも感じる。
小川は「スタメンも途中から行く時もやることは特に変わることはない」とキッパリ。「しっかり体を動かして練習では調整というよりかは、技術を上げるというところでノックを受けたり、バッティングもしっかり振ったりしています。そこはスタメンだろうが、ベンチだろうが関係なく、本当にレベルアップのための取り組みをしています」と、自身の技術向上だけを考えて準備する。
「しっかり自分の役割をやって、まずは守備でチームを引っ張っていって、打撃でもチームに少しでも貢献できればなと思っています」。チームは最下位と苦しい状況だが、レギュラーを目指す小川にとっては、与えられた出場機会で結果を残し、1試合でも多く先発で出場したいところだ。
取材・文=岩下雄太