ヒカル&進撃のノア“浮気OK婚”に賛否。本当に実践した夫婦が語る「意外な結末」とは

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2025年10月07日 16:20  女子SPA!

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画像:進撃のノアInstagramより
<亀山早苗の恋愛時評>

次々と報道される有名人の結婚離婚。その背景にある心理や世相とは? 夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

◆「オープンマリッジ」という言葉を使った、単なる浮気宣言?

 人気YouTuberのヒカルさん(34歳)と、元キャバクラ嬢で実業家の進撃のノアさん(30歳)が「交際0日」で電撃結婚したのは今年5月。そして9月に、ふたりは揃って動画に出演、その中でヒカルさんが「オープンマリッジとしてやっていく」と宣言した。これがすさまじい勢いで拡散されて炎上、ヒカルさんのYouTubeフォロワーは一気に20万人減少したという。動画の中では、ヒカルさんが「簡単に言うと浮気OKです」と軽く言っているのが印象的だった。

「ハーレムを作って、そこにノアを入れたい」と言い、それに対してノアさんは「それは嫌だ」と返したり。「浮気されたら、こっちもしてやる」といった、やられたらやり返す的な発言もあり、これはどうも「オープンマリッジ」という言葉を使った、単なる浮気宣言にすぎず、きちんとコンセンサスが得られているわけではないと誰もが思ったのかもしれない。

◆「結婚とは何か」「愛情とは何か」を問いかける

 オープンマリッジというのは、1973年にアメリカの社会学者オニール夫妻によって提唱された、社会的、性的に独立した個人を認め合う結婚のひとつの形だ。夫婦が所有欲、独占欲、嫉妬心に妨げられず、自由に愛人を作れることを主としているのだが、これはアメリカの性革命のひとつの帰結点ともいえる。

 しばらく前から、アメリカでは性革命が進行しており、そこでは特にフリーセックスが強調されるわけではなく、性を楽しむことそのものへの議論が活発になっていた。そこへ60年代後半からのヒッピー文化がカウンターカルチャーとして性革命に絡み、愛と平和、反戦を訴えて、一時期、若者たちの支持を得た。そんな時代を映す文化や反体制勢力などがいっせいに噴出した中で発表されたのが、オープンマリッジだったわけだ。

 オープンマリッジは、ある意味では結婚制度に対する暴論なのかもしれないが、それでも「結婚とは何か」「愛情とは何か」を問うにはじゅうぶんな影響があった。日本には根づかないとも言われているが、日本では多くの人が「制度」を甘受する傾向があるからかもしれない。実際には不倫する既婚者は多いのだが、「隠れてこそこそ」が常だ。結婚が「愛情よりも生活ベース」だから、どうしたら愛情を維持していくかの議論もなされていない夫婦が圧倒的多数なのではないだろうか。

◆夫婦間の関係が最優先、という確認ができているか

 本来、オープンマリッジを宣言するには、お互いの性的嗜好はもちろん、嫉妬や独占欲についてどう考えるのか、どちらかがやめたくなったらどうするのかまで議論が尽くされなければならないはずである。そして大事なのは、常に「夫婦間の関係が」最優先であるという確認ができているかどうかだ。通常の夫婦関係より、愛情を詳細に深く考えなければ、こうしたことは実践できない。

「うちはオープンマリッジです」と声高には言わないが、実践している夫婦は少なくない。筆者はそういう夫婦を取材してきたが、夫婦10組いればルールは10通りあるといってもいいだろう。

 ある夫婦を例にとる。夫、あるいは妻が、外に好きな人ができたとする。デートをするようになる。関係をもつ。その事実をパートナーに伝えるかどうか、どこまで詳細に話すのか。これも取り決めのひとつとして重要だ。

 その夫婦の場合「夫は妻の婚外恋愛に興味があり、誰とどういうデートをするのか詳細に聞きたがる」のだという。妻の恋愛相手が嫌がらなければ、自分に紹介してほしいとまで言っていた。妻が失恋したときは、夫が寝ずに慰めたそうだ。

 一方で、その妻は「夫の恋」についての詳細は聞きたがらなかった。嫉妬するのが怖いわけではなく、「忙しいから聞くのがめんどうなだけで、嫉妬は愛情の証であり、夫婦のスパイスだからデートする相手がいるというだけ聞ければいい」とのことだった。

◆夫の浮気で泣きわめき、1年がかりで話し合った結果

 こんな例もある。その夫婦がオープンマリッジに至ったのは、夫の浮気がきっかけだった。

「浮気がわかって私はさんざん泣いたりわめいたりした。夫は自分がいちばん愛しているのはきみなのに、どうして泣くのかと言ったんです。そこからふたりで夫婦とは何かを話し合った。もう子どもたちも高校生と中学生になっていて、これからは夫婦主体で生きていこう、もっと愛し合うためにどうしたらいいかを1年がかりで話しました」と妻は言う。その結果、オープンマリッジにたどり着いた。

 その言葉を知らなかったので、「お互いに浮気OKという関係になろう」と決めた。浮気が本気になる可能性もあるが、そのときはしかたがない、子どもたちが成人するのを待って離婚もやむなしということになった。

◆嫉妬することでリフレッシュ、夫婦の関係に変化が

「不思議なことに、それ以来、夫婦仲は以前より穏やかなものになった。夫はそれまでやらなかった家事をせっせとするし、夫婦の時間も濃密になった。

 私たちの場合は、私が恋をするとすぐ夫に泣きつくんです。好きな人ができた、と。夫はどうしたら攻略できるか一緒に考えてくれる。デートできるようになったら、日時だけ伝えます。夫は仕事をやりくりして早く帰宅、子どもたちに食事を作ってくれる。

 お互いにデートはしても外泊はしないと約束しているけど、あとは特に取り決めはありません。デートの内容までは話さないけど、うまくいっているかどうかは聞きあいますね」

 この夫婦はともに40代後半。外での恋が結果的に夫婦関係にいい影響を及ぼしていることは予想していなかったが、相手への関心や思いやりが格段に上がったことは認識しているそうだ。

 このふたりもまた、「嫉妬から解き放たれるのは無理だけど、嫉妬することで気持ちがリフレッシュし、夫婦だけの秘密をもつことで関係が濃くなる」とも話している。

◆「夫婦の間の風通しがよくなる」と話す人たちも

 オープンマリッジは、結婚する時点でそういう欲望があるとわかっている場合もあれば、結婚生活が続いていく中で芽生えることもありうる。実際には、そういうことを話し合える夫婦関係があるかどうかが重要なのではないだろうか。

 長い結婚生活の中で、パートナー以外に恋をしてはいけないというのは無理がある。誰かを好きになったら近づきたい、話したい、触れたいと思うのも当然のこと。恋を封印するより、お互いにそれを認めてしまったほうが夫婦の間の風通しがよくなると話す人たちもいる。

◆心の奥まで見せ合った夫婦にしかできない「秘密」

「一夫一婦制度への反乱というわけではない。結婚したからこそ強い絆があり、一方でお互いのことがわかっているからこそ、自由に恋もできる。従来の夫婦関係だった以前より、ずっと気持ちが自由なんです」

 そう語る妻は、生き生きと輝いている。

 オープンマリッジなんて、男の浮気願望を満たすだけ、妻は決して幸せではないはずという誤解が世間に流れている。だが、これはどちらかが不愉快であればうまくはいかないパートナーシップのありようなのだ。腹を割り、心の奥深くまで互いに見せ合った夫婦にしかできない「ふたりだけの秘密」なのである。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio

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  • 浮気・不倫は全然大丈夫だけど子供が出来た時面倒そうだなあ〜と。どうするのだろう?DNA鑑定するの?そのあたりは知りたい
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