限定公開( 2 )
人気格闘ゲーム「STREET FIGHTER 6」(以下、スト6)の世界大会「CAPCOM CUP 12」の配信有料化がファンの間で話題になっています。2026年の3月11日から4日間にわたり開催される本大会は、これまでの大会が全日程無料配信だったのに対し、最終日の決勝大会だけ有料で配信されることになりました。配信チケットの価格は、単品で4000円。元々有料で配信していた別大会のチケットとのセット購入では6000円になります。
この発表を受け、これまで無料でCAPCOM CUPを楽しんでいたファンの間では賛否両論様々な意見が出ています。肯定的な意見としては、「大会やシリーズの継続や発展のためにしっかり収益化するべき」というものが、否定的な意見としては「価格が高い」「他でマネタイズできないのか」といった意見が多いようです。ある海外のプロ選手は、世界大会の有料化により、経済的に余裕のない国や地域のファンが見られなくなることを懸念していました。
また9月下旬の「東京ゲームショウ」では、事前に「重大発表アリ!」と予告した上で、ステージでは著名プレイヤーや司会者の口から今回の発表があった点もファンの反感を買う原因になりました。つまり「有料化なのにポジティブな発表を装った」「自分達で説明せず、部外者に言わせた」と受け取られてしまったのです。これに関しては、しかるべき場を設けてキチンと説明するべきだったのかもしれません。
ところでボクは、スポーツ観戦も人並みに楽しみ、興行としてのスポーツというものに興味を持っている人間なのですが、スポーツの試合って、サービスとしてはかなり不安定な内容のものだと考えています。内容が予め決まっている映画や演劇などと違い、スポーツの試合内容や勝敗の結果は終わってみないと分かりません。払う金額に見合った満足感を得られるか、チケット購入時点では予想できないわけです。
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それはeスポーツのスト6も同様だと思っています。今回の件で言うと、決勝大会でどの選手が勝ち進むのかが分からない状況でチケットを購入することになります。Jリーグやプロ野球でも席を選ばなければ3000円程度で観戦できる中、4000円という価格設定はかなり強気に感じました。
また、これもボクの持論なのですが、サービス内容が不安定なスポーツを興行として成立させるためには、スタジアムグルメなどの安定した付加価値を付ける必要があると思っています。eスポーツでも、例えばゲーム内アイテムやキャラクターの限定コスチュームなどをチケットの購入特典とすることで、購入者の満足度アップにつながると思うのですが、いかがでしょう?
……とまあ、素人考えで好き勝手述べてきましたが、今回の有料化で視聴者数が減少するのは間違いないと思います。格闘ゲームとしては久々の盛り上がりを見せているスト6が、CAPCOM CUPの有料化を機にどういった方向に向かうのか、注目していきたいと思っています。個人的には、カプコンさんがCAPCOM CUPに4000円払うだけの価値をどのように生み出すのかも期待しています。
●著者紹介:サダタロー
1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。
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●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場
漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる〜く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。
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