
冬の夜空を彩る“赤い花火”。60歳を祝って60発の花火を全国一斉に打ち上げる「還暦花火」という試みで、12月5日、初めて行われました。皆さんにとって「60歳」という節目はどのようなものでしょうか。すでに迎えた方、まだ先という方…それぞれの想いを聞きました。
撮影:葛城真奈 村田鈴奈
編集:山本敦史
取材:上村彩子 吉田謙治
横山菜穂 岸本万由子
冬の夜空を彩る“赤い花火”は、60歳を祝う「還暦花火」です。12月5日、27都道府県43か所で一斉に打ち上げられました。
2025年還暦を迎えた人は――
「まだまだ青春を謳歌したいなと思っています」
「日本一周したいな、と」
「この生活を守っていきたいです」
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長年、寄り添う夫婦は…
妻が5月に還暦の夫
「最後まで一緒にいられればな、と思っています」
2025年、初めて打ち上げられた「還暦花火」。そのきっかけは1人の“小さな想い”でした。
発起人「自分へのお祝いと周りへの感謝の想い」イベント「還暦花火の日」の発起人・井出直美さん。花火を用いた企画を行うプロデューサーで、自身も8月に還暦を迎えました。
「還暦花火の日」発起人 井出直美さん
「私が自分の還暦を花火で祝いたいという、すごく個人的な想いから始まって。みんなで繋がれる日ができるんじゃないかなと」
そこで12の干支が5回めぐると60歳の還暦になることにちなみ、12月5日を「還暦花火の日」としてプロジェクトをスタートさせました。
還暦祝いに羽織る“ちゃんちゃんこ”の色にちなんだ「赤い」花火60発を、全国の会場それぞれで打ち上げようというものです。
イベント資金の一部はクラウドファンディングで募り、支援者は花火玉にメッセージを添えることができます。
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「還暦花火の日」発起人 井出直美さん
「このメッセージが好きかな。『みんなのおかげでここまでこれましたありがとう!!!!!!』。
自分をお祝いする気持ちと、ここまで来れたという周りへの感謝の想いが両方あって」
花火玉のメッセージの中には両親へ向けた言葉が書かれたものもあります。
「還暦花火の日」発起人 井出直美さん
「『お父さんお母さん、60年前に産んでくれてありがとう!』 というメッセージですね。読むと泣けてきますね。1個ずつ色んな想いがあるなと」
12月5日「還暦花火」打ち上げ当日。
上村彩子キャスター
「打ち上げを前に続々と人が集まってきています。(会場には)キッチンカーも出てきました。そして、ご家族で来ているのでしょうか、お子さんの姿も見られます」
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幅広い世代が集まった神奈川県の相模原会場。友人と訪れた女性がいました。
――すてきなファッションですね
10月に還暦 矢端雅子さん
「(還暦の)赤でまとめてみました」
10月に還暦を迎えた矢端雅子さん。仕事に子育て、忙しい日々を送ってきましたが、還暦を前に“人生を見直すきっかけ”があったといいます。
10月に還暦 矢端雅子さん
「6年前に、乳がんになって仕事の管理職の一番忙しい時期に。仕事のバランスが100%だったが、死を意識し、ペース配分を考えようと思った」
病を乗り越え、迎えた60歳。
――どのような想いをはせながら花火を見たいですか?
10月に還暦 矢端雅子さん
「きょう、この場に来れている、本当に自分自身に『60年間お疲れ様』という労い」
5月に還暦を迎えた重松美子さんと夫・肇さん(64)。
――いよいよ打ち上げを迎えますが、どんな心境ですか?
5月に還暦 重松美子さん
「ドキドキしてます。どうなるんだろうとワクワクとドキドキ」
美子さんが胸を高鳴らせる理由。実は美子さん、花火玉に肇さんへ“感謝の言葉”をこっそり綴っていました。
先に還暦を迎えた肇さんですが、定年後、家事や親の介護で働く美子さんを支えてくれたそうです。
“打ち上げを前に夫に感謝を伝えたい”。美子さんは、そんな想いを抱いていました。
5月に還暦 重松美子さん
「今までとにかくありがとうって。39年一緒になってから、ずっと一緒にいれくれて本当に感謝しかない」
――どんな反応をしてくれるでしょうね?
5月に還暦 重松美子さん
「花火にメッセージが入っているのも知らないと思うので」
打ち上げまで、あと15分。いよいよ想いを伝えます。
5月に還暦 重松美子さん
「きょうは花火に感謝のメッセージを入れてもらっていて」
重松美子さんが花火に書いた肇さんへのメッセージ
「肇さん、還暦の今日まで一緒に過ごしてくれてありがとう。これからもよろしくね!美子」
夫・肇さん(64)は「はい、こちらこそ」と嬉しそうな様子。
5月に還暦 重松美子さん
「定年してからご飯を作ってもらったり、いっぱいやってもらったので感謝しています」
夫・肇さん(64)
「きょうは、こういう機会を作ってくれたから、こちらこそ、ありがとう」
午後7時、打ち上げの瞬間です。
キレイな赤い花火が夜空に打ちあがります。2025年の還暦は、1965年生まれ、全国約174万人です。
それぞれの想いを胸に、夜空を見上げて――
2025年還暦を迎えた人
「真っ赤なきれいな花火でした。60年、生きてきて良かったです」
「1年1年を刻むようなかたちで、人生と重ね合わせて。本当に楽しかったです」
「ここからまたゼロからと言うことで、頑張って社会貢献していきたいと思います」
「元気な日本になって欲しいので、健康で生きたいなと思います」
これから還暦を迎える人も…
46歳男性
「パワフルに、元気に60歳を迎えたいなと思います」
21歳男性
「お若く見える方が本当に多いので、交流をどんどんしていきたいなとすごく思います」
「還暦花火の日」発起人 井出直美さん
「『60歳の人たち楽しそうだな』『自分たちも楽しくやればいいんだ』と、みんなが元気になってくれると、それをきっかけに、日本がもっと元気に復活していけるんじゃないかなって」
先ほど、夫に感謝の言葉を伝えた重松さんは…
夫・肇さん(64)
「あと何年になるかわからないけど、『最後まで一緒にいられれば』と思っています」
赤い花火が、寄り添う2人のこれからをやさしく照らしていました。
上村彩子キャスター
冬の花火はロマンチックですよね。どのような60歳を想像していますか。
喜入友浩キャスター:
約30年後、その頃にはおそらく定年も65歳や70歳になっていると思うので、難しいと思いますけど、勢いを持って通過したいですよね。
上村キャスター:
取材でお会いした60歳の皆さん、本当にエネルギッシュでパワフルでした。
今までの仕事をそのまま続けるという方もいれば、取材をした重松さん夫妻の夫・肇さんのように、定年を機に仕事を辞めて、自分のやりたいことを自分のペースで働きながら、妻のサポートをする。節目にいろいろな人生の選択がありますね。
ただ皆さんに共通していたのは、自分の生きたい人生をしっかり選び取っている60歳の方が多いということです。
一昔前の60歳のイメージではなく、今も現役で元気な方が多いです。「還暦」というのは、これまでの人生を振り返り、周りに感謝をして、第2のスタートを切る。本当に人生の素晴らしい節目なのだと感じました。
実行委員の方は来年以降も開催したいとのことで、「12月5日の赤い花火」が冬の風物詩になるかもしれません。
