旧警備業法の欠格条項を巡る訴訟の上告審判決が言い渡された最高裁大法廷=18日午後、東京都千代田区(代表撮影) 成年後見制度利用者の就業を認めない旧警備業法の「欠格条項」は職業選択の自由や法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、軽度知的障害がある岐阜県の元警備員の男性が国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・今崎幸彦長官)は18日、同条項を違憲とする初判断を示した。一、二審が認めた賠償請求は棄却した。
裁判官15人のうち、今崎長官ら10人の多数意見。三浦守裁判官ら5人は国に賠償責任もあるとする反対意見を述べた。
最高裁が法令を違憲と判断したのは戦後14例目で、旧優生保護法の規定を違憲とした2024年7月の大法廷判決以来。同条項は180以上の法律に設けられていたが、19年に一括削除された。
大法廷は、1982年の改正で欠格条項の前身となる規定が設けられたことについて「精神障害による判断能力の低下が確認され、相応の合理性があった」と判断。判断能力を個別に審査することになった2002年改正も合憲とし、長期間にわたって違憲が明白だったとする原告側の主張を退けた。
その上で、徐々に社会の意識変化が進み、「障害を理由とする差別が禁止されるべきだとする考え方が確立した」と指摘。男性が成年後見制度の「保佐人」を付けたことにより退職を余儀なくされた17年3月時点までには、同条項による不利益が「看過し難いものとなっており、憲法違反に至っていた」とした。
一方、障害者差別が禁止されるべきだとする考え方が確立したのは男性の退職と相当に近接した時期だったとの見方を示した。それまでに違憲とする判例もなく、見直しにも相応の期間が必要だったとして、国会が長期にわたり同条項を放置したと言えず、国に賠償責任はないと結論付けた。