ホンダと日産自動車は統合準備委員会を設置し、昨年12月に基本合意した経営統合に関する協議を本格化した。協議を主導するホンダは6月を目指す最終合意に先立ち、日産が収益改善策として打ち出した4000億円の経費削減を着実に実行するかどうか、1月末までに見極める方針。日産の実行力が問われている。
三菱自動車は両社の協議を踏まえ、統合への参画について1月末をめどに結論を出す方針だ。
「一番やらなければいけないのは、収益力をきちんと回復させる形を示すことだ」。日産の内田誠社長は7日、東京都内で記者団に強調した。日産は北米や中国事業の落ち込みが響き、2024年9月中間連結決算で営業利益が9割減少。世界全体の従業員の7%に当たる9000人の削減、生産能力の2割削減を柱に、24年度比で固定費を3000億円、変動費を1000億円減らす事業構造改革「ターンアラウンド計画」を昨年11月に発表している。
ただ、具体策が判明しているのは北米での減産など一部。「役員数が同業他社より多く、迅速な意思決定が難しい」(関係者)と指摘され、決断のスピードアップへ経営体制の見直しも急務だ。
ホンダの三部敏宏社長は基本合意を発表した際の記者会見で、最終合意へ進むには「ターンアラウンド実行が絶対的な条件だ」と強調しており、日産に残された時間は長くない。両社の親会社として26年8月の設立を目指す共同持ち株会社でも「立ち上がりはホンダがリード(主導)しながら進めていく」(三部氏)との方針を示し、日産に実行を迫っている。
三菱自の加藤隆雄社長は10日、千葉市内で「ホンダと日産がいい方向に進むことを願っているし、そうなったときにしっかり協力していきたい」と記者団に語った。三菱自が持ち株会社の傘下に入るかどうか、両社の統合協議を見極めた上で判断する考えを示した。
記者団の取材に応じる三菱自動車の加藤隆雄社長=10日、千葉市