ミャンマーの特殊詐欺拠点で日本人の高校生を働かせたとしてタイ当局に身柄を拘束された日本人男性が強制送還され、大阪府警が25日、府内で起きた別の事件を巡る逮捕監禁などの疑いで逮捕した。容疑者は海外の犯罪組織の依頼で特殊詐欺に加担する日本人を集める「リクルーター役」とみられるといい、日本の警察当局は勧誘の手口や拠点の運営実態について解明を進める。
逮捕されたのは住居不定の無職、藤沼登夢容疑者(29)。宮城県の男子高校生(17)をだましてタイに出国させ、隣国のミャンマー東部にある犯罪グループの拠点で特殊詐欺に加担させたとしてタイ当局に2月に拘束されていた。
逮捕容疑は複数人と共謀して昨年8月、大阪市西区の路上で20代の知人男性を車に乗り込ませてスタンガンで暴行し、現金260万円を奪ったなどとしている。「間違っているところがある」と容疑を一部否認している。
府警刑事特別捜査隊によると、この事件で実刑判決が確定した男性(29)や被害者が府警の捜査に「藤沼容疑者を含め、中国やカンボジアの特殊詐欺拠点に日本人を送る仕事をしていた。中国人の依頼だった」などと供述。事件はリクルートを巡る仲間内の金銭トラブルが原因の可能性があるという。
ミャンマーやカンボジアなどでは、中国系の犯罪組織が日本人を含む外国人に強制的に特殊詐欺を行わせているとされる。府警は容疑者らがSNS(ネット交流サービス)で仕事の求人などを装って日本人を募り、拠点に派遣していたとみている。
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藤沼容疑者は昨年10月に海外に出国したことが確認され、府警が逮捕状を取り行方を追っていた。強制送還され、日本の領空内に入った航空機内で逮捕状を執行された。日本の警察当局は宮城県の高校生を誘った経緯などについても事情を聴く方針。【林みづき、斉藤朋恵、中村宰和】
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