新たな小惑星探査に向かう「拡張ミッション」で、地球の重力を利用した加速(スイングバイ)を行う探査機「はやぶさ2」の想像図(JAXA提供) 探査機「はやぶさ2」が2031年の到着を目指す小惑星「1998 KY26」の大きさが、従来推定の直径約30メートルより小さく、同約11メートルである可能性が強まった。欧米の研究チームが新たな地上観測結果を基に推定した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)も、新たな予測に基づく探査計画の検討を進めている。
はやぶさ2は20年12月、小惑星「りゅうぐう」で採取した砂などを入れたカプセルを地球に投下。その後も飛行を続け、26年7月に小惑星「トリフネ」を通過観測した後、31年7月に最終目的地の1998 KY26を目指す「拡張ミッション」を継続中だ。
1998 KY26は、地球に衝突する可能性のある小惑星の一つ。発見時の観測で直径約30メートル、自転周期約10分で回転していると推定された。とても小さく暗いため普段の観測は困難だが、約3年半に一度地球に近づく機会を捉え、地上の大型望遠鏡などによる集中観測が昨年行われた。
米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)などの研究チームの査読前論文によると、昨年の観測で自転周期がさらに高速の約5分と判明。過去のレーダー観測などと照合した結果、直径は約11メートルで、表面が白っぽく、光の反射率が高いと推定された。
はやぶさ2はりゅうぐうと同様、到着後に接近観測を行う予定。りゅうぐうへの着陸で目印に使ったターゲットマーカーと、試料採取時に表面に撃ち込んだ弾丸が一つずつ残っており、着陸(タッチダウン)などを含めた探査も期待される。ただ、りゅうぐう(直径約900メートル、自転周期約7.6時間)よりはるかに重力が弱い一方、高速自転で遠心力が強いため、ターゲットマーカーを投下しても表面に止まらない可能性も高い。
JAXAの三桝裕也・拡張ミッション運用リーダーは「当初から重力より遠心力が強く、ターゲットマーカーを静置させるのは困難と想定していた」と説明。「タッチダウンの難度は高まるが、だからこそ挑戦する価値は高い」と強調した。

2031年7月到着予定の小惑星「1998 KY26」への着陸を試みる探査機「はやぶさ2」の想像図(JAXA提供、小惑星は20年当時の予想イメージ)