すべてのリチウムイオン電池の回収を市町村で 環境省「一般廃棄物として自治体が回収するのが“あるべき姿”」

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2025年04月15日 18:31  ITmedia NEWS

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浅尾環境大臣(出典:環境省公式チャンネル)

 環境省は、ごみ処理施設やごみ収集車などの火災事故の原因になっているリチウムイオン電池について、市町村による分別回収を徹底する方針を示した。15日の閣議後会見で浅尾環境大臣が明らかにした。


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 浅尾大臣は、近年、廃棄物処理施設やごみ収集車などでリチウムイオン電池に起因する火災が頻発していることを受け、「今後、市町村による分別回収や適正処理をさらに徹底していく必要がある」と指摘。「火災予防のためには“燃やすゴミ”や“燃やさないゴミ”など、他のゴミの区分とは区別して回収することが重要と考えている。本日発出した通知では、各市町村においてそれを踏まえた安全収集処理体制の構築に向けた方針と対策を盛り込んだ。国民の皆さんは、適切な廃棄方法について市町村に問い合わせてほしい」とした。


 リチウムイオン電池による火災事故は2023年度に8543件発生し、深刻な問題となっている。主な原因は“誤った捨て方”。モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を搭載した製品が、燃やさないゴミなどに混ぜて捨てられるケースが多い。


 一方、市町村によるリチウムイオン電池の分別回収は、全体の約75%にとどまる(2023年度時点)。家電量販店などで回収している場合もあるが、JBRC(Japan Portable Rechargeable Battery Recycling Center:小型充電式電池の再資源化に取り組む一般社団法人)会員企業の製品に限られるなど制約もあり、廃棄時に困るユーザーは多かった。


●「リチウム蓄電池等」区分を設けて分別収集


 今回の通知「市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について」では、「リチウム蓄電池等」を標準的な分別収集区分の一つとして位置づけ、破損していたり、膨張していたりするものも含めて、家庭から出る全てのリチウムイオン電池の分別回収を市町村に求める内容となっている。


 具体的には、自治体は住民にとって利便性が高い収集方法で分別収集を行うこと、適正処理が可能な事業者に引き渡すことなどを挙げている。例えば回収ボックスを設置する場合は、投入できる時間や曜日が多い施設に置き、破損したり膨張したりしている電池は、別途回収することが望ましいとしている。


 併せて、リチウムイオン電池を使用している製品──例えばモバイルバッテリーや加熱式たばこ、コードレス掃除機、ハンディファンといった具体的な製品の周知を図り、住民に電池を使い切った状態で出すよう呼びかけるなど、捨て方を分かりやすく広報することも求めた。


 一方で、コスト面など様々な事情により、リチウムイオン電池の回収には積極的ではない自治体もある。今回の通知を出した環境省の廃棄物適正処理推進課は、通知自体は「必ずしも強制力を持つものではない」としながらも、3月末には市町村の一般廃棄物処理システムの指針となる「システム指針」も改訂した。今後、自治体はリチウムイオン電池の回収を含めた形で、ごみ処理の取り組みを評価されることになる。


「人材やコストの面で対応が難しい自治体もあり、すぐには実現できないかもしれない。しかし家庭から出るごみは、一般廃棄物として自治体が回収するというのが、あるべき姿だ」(環境省 廃棄物適正処理推進課)。



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  • 「回収」するのがあるべき姿であるなら、処分の方法を確立するのが国のあるべき姿。
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