盗難仏像、12年半ぶり帰還=韓国から、所有権訴訟経て―観音寺で法要・長崎県対馬市

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2025年05月12日 16:31  時事通信社

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約12年半ぶりに観音寺に帰還した「観世音菩薩坐像」=12日午後、長崎県対馬市
 2012年に長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた仏像が12日、約12年半ぶりに帰還し、同寺で法要が営まれた。仏像は今後、同市の博物館に保管される。

 仏像は県指定有形文化財の「観世音菩薩坐像」。韓国人窃盗団によって12年10月に盗まれ、韓国に渡った後、同国の捜査当局が回収した。ところが、同国中部・瑞山の浮石寺が「倭寇によって持ち出された略奪品だ」と所有権を主張。同国内で訴訟となり、一審は浮石寺の主張を認めたものの、二審は「民法上の取得時効が成立する」として訴えを退け、最高裁も23年、観音寺に所有権があると判断した。

 両寺などの間で調整が進められ、仏像は今年1月、韓国政府から観音寺側に返還されたが、要望を受ける形で浮石寺に一時的に貸与された。今月10日に浮石寺から観音寺側に引き渡され、福岡を経由して12日未明、フェリーで対馬市に到着した。

 法要には、観音寺の檀家(だんか)ら約40人が参加。終了後、取材に応じた住職の田中節竜さん(49)は「(帰還まで)長かったなという思いが一番」と話した上で、今後の浮石寺との交流について「前向きに考えている」と語った。

 檀家総代長の村瀬辰馬さん(70)は「よく戻って来ていただいた。韓国の皆さんに感謝したい。韓国と少しでも近づく機運が醸成できたら」と喜んだ。

 対馬市によると、仏像は今後、安全や防犯面を考慮し、同市の「対馬博物館」に保管される。16日から1カ月間、特別公開される。 

韓国から帰還した「観世音菩薩坐像」の法要=12日午後、長崎県対馬市(対馬市教育委員会提供)
韓国から帰還した「観世音菩薩坐像」の法要=12日午後、長崎県対馬市(対馬市教育委員会提供)

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