他人のクレジットカード情報を使ってオンラインゲーム内の通貨を不正に購入したとして、警視庁サイバー犯罪対策課は19日、ベトナム国籍の専門学校生、グエン・ザー・ティ被告(20)=東京都荒川区=を電子計算機使用詐欺容疑で追送検した。
サービス利用料を携帯電話料金と合算して支払う「キャリア決済」を使い不正購入していたという。合算は月ごとのため、利用者が被害に気づきにくいのを悪用したとみられる。
追送検容疑は、2024年12月4〜5日に6回にわたり、他人のクレジットカード情報を使って、ゲーム内の通貨計7万6800円分を購入したとしている。容疑を認めているという。
警視庁によると、グエン被告はベトナムを拠点とした犯罪グループの指示役から、ゲーム利用者のIDとパスワードを入手してゲームにログイン。ゲーム内の通貨を購入する「課金代行」をしていたとみられる。
指示役は、ゲーム通貨を安く入手したい利用者を募り、不正購入した額から2割引いた額を利用者から報酬として取得。少なくとも23年7月〜今年1月、月200万〜300万円程度を売り上げていたという。グエン被告は月15万〜20万円を生活費としてグループから受け取っていたとみられる。
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悪用されたキャリア決済は、利用者にとっては課金ごとにカード情報を入力する必要がないことが利点とされる。ただ一部の通信事業者はカード情報を登録する際に多要素認証を導入しておらず、不正なカード情報で登録できる。
またSIMカードの利用に応じて、月当たりの上限額が10万〜20万円程度まで引き上がる。グエン被告らのグループは上限額が高くなったSIMカードを「ヌォイ(ベトナム語で『育てる』の意味)シム」と呼んでいた。利用料金を一定期間、適正に支払ってから通貨購入に使っていたという。
今回、カード情報が使われた3人のうち2人は以前に不正利用された後に再発行したカードでも被害に遭っていた。携帯や公共料金などの決済はカード会社が自動的に引き継ぐサービスがあるためで、犯罪グループはこうした点も熟知していたとみられる。
グエン被告は3月、中国人グループにデジタル地域通貨のアカウントを不正取得させたとして、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕、起訴されていた。【菅野蘭】
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