衆院本会議に出席した江藤拓農林水産相=20日午後、国会内 立憲民主党など野党5党は20日、「コメは買ったことがない」とした江藤拓農林水産相の発言は許されないとして、農水相の更迭・辞任を求めることで一致した。立民の野田佳彦代表が21日の党首討論で石破茂首相に直接要求。応じなければ、農水相不信任決議案の提出に向けて検討に入るとしている。首相の判断が焦点となる。
立民、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組、共産党の国対委員長が20日、国会内で会談し、確認した。立民の笠浩史国対委員長は会談後、「資質が問われる発言だ。続投は許されない」と記者団に強調。「21日の党首討論で首相が(前向きに)発言せず、事態が動かなければ、不信任決議案提出の検討に入りたい」と語った。
5党は現在、衆院で230議席を有し、過半数の233に迫っている。立民は党首討論後、参政党などにも参加を呼び掛け、野党国対委員長会談を開きたい考えだ。
一方、首相は農水相を続投させる構えを崩していない。首相は20日の衆院本会議で、「江藤氏には国民の理解が得られるよう職務にまい進し、農政の課題の解決に全力を尽くさせたい」と立民議員の更迭要求を拒否。江藤氏も参院農水委員会で「苦しくとも、批判を浴びても、歯を食いしばって最後までやり遂げる」と述べた。
ただ、与党内には農水相の辞任は避けられないとする厳しい見方が出始めている。自民党関係者は「不信任案が提出されれば可決するだろう。提出前の辞任は不可避だ」と指摘。同党幹部は「状況は厳しい」と語った。
公明党の西田実仁幹事長は20日、自民の森山裕幹事長と東京都内で会談し、「発言は極めて不適切。国民にしっかり寄り添うべきだ」と苦言を呈した。公明幹部は「不信任決議が可決されるくらいなら、江藤氏が『辞めます』と言ってくれた方がいい」と強調した。

江藤拓農林水産相の発言について陳謝する石破茂首相=20日午前、首相官邸