街頭演説する日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)=20日、東京・新橋 日本維新の会の党内で不協和音が高まっている。夏の参院選を巡り、吉村洋文代表(大阪府知事)が掲げた「改選6議席以上」とする獲得目標が「低い」として公然と見直しを求める声が上がった。昨年、維新に合流したばかりの前原誠司共同代表への不満も広がる。結束が揺らいでおり、参院選の結果次第では吉村氏らの進退に直結しかねない状況だ。
「こんなことでは戦えない」。藤田文武前幹事長は20日の党代議士会で、前原氏ら執行部に対し、参院選目標を見直すよう迫った。今夏に改選を迎える議員が当選した2019年参院選では10議席を獲得していたことも踏まえ、「目標は高く掲げ、それに向かって一致結束するから、みんながまとまる」と強調した。
藤田氏は馬場伸幸前代表が率いた当時の執行部で幹事長を務めた。現執行部と前執行部にはかねて距離があり、今回その溝が改めて露呈した格好だ。前執行部に近い議員は「下向きな目標にさえ届かなければ責任問題だ」と述べ、目標を達成できなければ吉村氏らの進退問題に発展すると警告した。
一方、前原氏に対する不満も党内で高まっている。前原氏は21日の党首討論で石破茂首相(自民党総裁)に対し、社会保障改革に向けた自民、公明両党との協議が進展しなければ「不信任に値する」と表明。国会会期末で焦点となる内閣不信任決議案に賛同する可能性に触れた。
与党へ圧力をかける狙いがあったが、不信任案に言及することは執行部内で共有されていなかった。党幹部の一人は不信任案への対応は吉村氏に一任されているとし、前原氏の発言について「早い段階で方向性を出すのは良くない」と苦言を呈した。若手議員は「前原氏の独断専行が過ぎる。リスクでしかない」と批判した。

記者会見する日本維新の会の前原誠司共同代表=22日、国会内