「クリーンな水素燃料の飛行機」展示=28年商用化目指す―仏新興企業

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2025年06月22日 08:02  時事通信社

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フランスの新興企業ブルー・スピリット・エアロが開発中の水素航空機「ドラゴンフライ」のイメージ(同社提供・時事)
 【パリ時事】世界最大の航空見本市、パリ国際航空ショー(16〜22日開催)で、脱炭素化の切り札の水素を燃料に飛ぶ4人乗り小型機「ドラゴンフライ」(トンボの意味)が展示されている。地元フランスの新興企業ブルー・スピリット・エアロが開発中の電動プロペラ機だ。オリビエ・サバン最高経営責任者(CEO)は「水素を起点に白紙から設計した。クリーンで静か、安全な未来の軽飛行機だ」とアピールする。

 同機は、水素と酸素の化学反応で発電する「燃料電池」を使ってプロペラを回す。発電により水が生成されるが、燃料電池車同様、二酸化炭素(CO2)は排出しない。

 安全上の観点から、水素タンクと燃料電池、モーター、プロペラを「ポッド」(格納容器)に集約。これを両翼に計12基搭載して機体の揚力を高め、低速でも安定飛行できる設計とした。

 一度の燃料充填(じゅうてん)で約3時間、700キロの飛行が可能。仮に一部のポッドが故障しても、最低4基が正常なら墜落しないという。

 サバン氏は米仏の世界的企業で約25年間、航空分野の水素事業に携わった専門家。2020年に起業し、仏政府の支援を得て水素機の商用化を目指す。近くドラゴンフライの試験飛行に着手する予定で、28年ごろの販売開始を思い描く。

 1号機の有力な売り込み先はパイロット養成機関。世界では今後20年間で60万人強の新人操縦士が必要との試算があり、同社は老朽化した実習機の後継需要を見込む。将来的には、地方都市間を結ぶ旅客路線のニーズを掘り起こしていく。

 サバン氏は「水素は管理可能な燃料だが、怖がる人が多い」と話し、地道な啓発の重要性を指摘。水素機の普及を左右する燃料補給インフラの整備促進には「政治の意思が不可欠」と強調した。

 航空業界はCO2排出量を50年までに実質ゼロにする方針。水素機の開発は欧州航空機大手エアバスも進めている。 

フランスの新興企業ブルー・スピリット・エアロが開発中の水素航空機「ドラゴンフライ」と、オリビエ・サバン最高経営責任者(CEO)=15日、パリ近郊ルブルジェ
フランスの新興企業ブルー・スピリット・エアロが開発中の水素航空機「ドラゴンフライ」と、オリビエ・サバン最高経営責任者(CEO)=15日、パリ近郊ルブルジェ

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  • ヒンデンブルグの事は昔の事かも知れんけどな、今の物作りの能力はその当時より遥かに劣化してるから開発段階で事故続出たぜぇ?(笑)
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