
キャバクラやホスト、大人のお店などのいわゆる「夜のお店」に勤めるキャスト(通称、夜職)は、精神的に少し弱い人が多いイメージがありますよね。人の心に触れることが多かったり、性的な仕事が心の疲労が強かったりと、確かに水商売は心が暗くなる要素と常に隣り合わせです。
【写真】「二度としない」涙ながらに土下座した夫 1年後、バーで知り合った女性と深い仲に
実際、筆者の周りの人間の様子などを見ていると、歓楽街で働く人間の8割がメンタルに支障をきたしているように見えます。華やかな世界で心身ともに病むことなく生きることは至難の業で、どんなに健康な人でも1年間に数回は波に飲まれてしまうのです。
メンタルが崩される最大の理由は「客」
夜職は、利用者がいなければ成り立たない客商売。「指名」というシステムは「大勢の中から選ばれる」こととイコールなので常に愛想よく振る舞い、相手の求めるものに応えていく仕事といっても過言ではありません。限度はあれど、多少の理不尽にも耐えるのがこの世界にとっての常識です。
そして、この部分を逆手にとって横柄な態度を取るお客様も多いため、嫌な人と接するほど働き手のメンタルは削られます。このような困ったお客様の対応で、メンタルを消耗しきってしまったキャストが長期休業に追い込まれてしまうケースは決して珍しくありません。
|
|
プレッシャーと生活リズムの狂いで心が病む
お客様関連での悩みがないキャストはメンタルが安全かといえば、答えはノーです。売上のプレッシャーもキャストたちに大きなストレスを与えています。指名が少なく売り上げを作れないキャストは、クビや時給ダウン、お店でのランキングダウンなど数字で追い込まれてしまうのが理由です。
また、もともとメンタルが強く楽観的な性格でも、生活リズムが狂うことで心にダメージを負ってしまう事例も多いです。「客のことはなんとも思ってないし、人間関係もトラブルなし。売上もちゃんと保っているけど、なぜか元気が出ない」という不調の原因が、実は生活リズムのせいだった……なんてのもよくある話なんですよ。
夜職はアフターなど時間外労働が多く、決まった時間に寝て起、規則正しい食事を摂るのがとても難しい仕事です。めちゃくちゃな生活を続けると自律神経がおかしくなり、その結果メンタルに支障をきたすといったところでしょうか。
以前、漫画家の西原理恵子先生が「水商売の時給が高いのはガマン料」と漫画に描いていましたが、これは仰る通りだと思います。すり減らすものの量が多いからこその高収入なので、メンタルケアとは永遠に戦っていかねばならない世界なのです。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。
|
|
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。