マウス着床、実験容器で再現=人の不妊治療改善に期待―たんぱく質相互作用も解明・大阪大

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2025年07月09日 21:01  時事通信社

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 雌マウスから子宮内膜を採取して断片を実験容器内で培養し、胚盤胞と呼ばれる成長した受精卵を高い確率で着床させる技術を開発したと、大阪大微生物病研究所の伊川正人教授らが9日発表した。着床に必要なたんぱく質の相互作用の一つも解明し、論文は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。

 伊川教授はこの再現技術により、「人の生殖補助医療で着床不全を少しでも改善する方法、治療薬を開発できたら」と話している。

 女性の体内で着床の瞬間は調べられず、着床の成否を分ける要因の解明が進んでいない。このため容器内で再現実験が試みられるが、人の体外受精卵を多数使うことは倫理的に問題がある。人工多能性幹細胞(iPS細胞)などから疑似的な胚盤胞を生み出し、病気の患者から摘出され、培養した子宮内膜に着床させる実験が国内外で行われているが、本物ではないという短所がある。

 マウス実験は遺伝子操作や薬剤投与が容易で、伊川教授や平岡毅大特任助教(研究当時)らは、雌マウスから採取した子宮内膜の断片に容器内で酸素を供給しながら培養する方法を工夫。マウスの胚盤胞を95%程度の確率で着床させる技術を確立した。

 子宮内膜には着床を促進させる酵素「COX―2」があり、具体的な働きが不明だったが、薬剤で働きを阻害する実験や遺伝子解析により、胚盤胞の外側の細胞にある「AKT」と呼ばれるたんぱく質を活性化させることが判明。COX―2の働きを阻害した状態でも、人為的に活性化させたAKTを胚盤胞に導入すると、着床が進んだ。 

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