インタビューに応じる日本証券業協会の日比野隆司新会長=8日、東京都中央区 1日就任した日本証券業協会の日比野隆司会長(大和証券グループ本社元社長)が、時事通信などのインタビューに応じた。証券口座の乗っ取り被害に関し「経営上の最優先課題として各社が対応し続けないといけない」と強調。日証協としてもインターネット取引に関するガイドラインの見直しを進め、オンライン口座利用時の本人確認策の強化に取り組む考えだ。
日比野氏は、協会として「安心・安全な証券取引の環境整備を行う必要がある」と指摘。指紋などの生体情報に基づく、より高度な認証策の導入も視野にガイドラインを見直す考えを示した。金融庁によると、今年上半期の不正売買額は計約5710億円に上るが、6月は前月比で大きく減少した。同氏は「(各社の強化策が)抑止力として働いている」との認識を示した。
一方、少額投資非課税制度(NISA)については「(高齢者や未成年も含めた)全世代型NISAの実現に業界として働きかけを強めたい」と語った。国は高齢者が月々の生活費に利用しやすい投資商品を対象に入れることや、新NISAの導入に伴って廃止された子ども向けの復活を議論しており、業界としても後押しする。
資本市場をてこに「日本経済のさらなる発展に貢献したい」とも語った。プロ投資家を対象に非上場企業の株式を発行・流通させる「J―Ships(特定投資家向け銘柄制度)」の普及などを通じスタートアップ(新興企業)への資金供給を促す考えだ。