嵐の楽曲で増えるハーモニー 「Bittersweet」に見るシンガーとしての“進化”とは

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2014年03月15日 11:00  リアルサウンド

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 嵐の楽曲におけるユニゾンの重要性は以前にも当コラムで指摘したが、最新シングル『Bittersweet』ではそのユニゾンが大サビまでほとんど出てこない。その代わりに多用されているのがハーモニー、いわゆる「ハモリ」である。この曲、Aメロの歌い出しを除くとずっとハモり続けて曲が進行する。嵐はジャニーズの中でも比較的ハーモニーの多いグループだが、ここまで徹底的にハモリ続けている彼らの楽曲は他に記憶が無い。ユニゾンの代わりにハーモニーが多用されている点、それが新曲「Bittersweet」の大きな特徴である。



(参考:嵐サウンドの肝はユニゾンにあり メンバーも語った「5人で歌う意味」とは?



 なぜ「Bittersweet」ではハーモニーを多用するように至ったのだろうか。ひとつにはもちろん二宮和也、松本潤というそれぞれ高音・低音を担当する「ハモリ職人」がグループに存在することが挙げられる。彼らの長所を全面に活かせるよう楽曲をアレンジした結果、このような形に仕上がったというわけだ。たとえばAメロを例に出すと、大野智のソウルフルなボーカルで始まる歌に松本の低音が重なることでメロディが厚みを増し、そこへ二宮の伸びやかな高音が続くことで楽曲に疾走感が加わる。このような形で二人のハモリがメロディを際立たせるため随所で効果的に用いられていることが「Bittersweet」を聴くとわかるだろう。



 ただし「Bittersweet」におけるハーモニー多用にはそれ以上、すなわち「ハモリ職人」の存在以上に重要な意味があるように思う。それはつまり、個々のメンバーの歌唱力が以前に比べ格段に向上しているということだ。ユニゾンには歌に厚みをもたせ、纏まりをよくする力がある。一般的に、ソロでは不安定な歌唱であってもユニゾンにすれば上手に聞こえるため、それが理由でユニゾンを多用するグループも多い。一方、ハーモニーには主旋律を歌う方にもハモリをかぶせる方にも繊細な歌唱力が求められる。どちらか片方でも不安定になるとハーモニーが成立しなくなるだけユニゾンよりも難易度が高い。今回の「Bittersweet」では大野・相葉・櫻井の三人が以前よりも安定感をもって主旋律を歌っており、そこに絶妙な形で二宮・松本がハモリを被せられているので心地よいサウンドとして聴くことができる。ハーモニーを多用するようになったのは、嵐のメンバー各人がシンガーとして更に“進化”したことを意味しているのである。



 もちろんユニゾンのもつ力強さや一体感も嵐の魅力だが、こうして丸々ハーモニーの曲を歌うことで彼らの表現力の幅はとりわけ広がった。メンバー全員が30代となり円熟味の増してきた嵐。彼らが今後どのような楽曲を歌うのか、ファンならずとも注目である。(北濱真哉)



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