「男性育休100%」が企業にもたらす効果

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2014年04月06日 17:10  JIJICO

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大手生命保険会社において男性の育休取得率が100%に


先日、大手生命保険会社において男性の育休取得率が100%になった、というニュースが飛び込んできました。 このニュースを見て、そもそも「男性が育休?!」と思われたかもしれません。しかも、取得率100%です。「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」の考えが徐々に社会に浸透してきているとはいえ、現実的には男性が育休を取りやすい環境にあるとは言えないのが実情でしょう。数字で見ても男性の育休取得率は企業全体で1.89%(2012年度)です。


しかし、そのような状況の中、前述の大手生保では男性の育休取得を義務化してまで推進しているのはなぜでしょうか。それは、会社にとって男性が育休で職場を抜けるデメリットを上回る効果があるからに他なりません。


男性の育休取得は、企業のチカラを向上させる


1、モチベーションアップ
「育児にもっと関わりたい」と思っている積極的な男性は意外と多いのです。男性の3割、現役パパでは5割、新入男性社員では7割に上ります(厚労省、電通、日本生産性本部調べ)。そのような男性にとって、育休取得を後押ししくれる会社はありがたいでしょう。たとえ今は子育て期にない男性であっても、このような後押し(制度)があれば将来的に子育てをする際の安心感につながります。それが「この会社で長く働きたい」という動機づけの一因になります。


2、優秀な人材を採用できる
前述のように、新入男性社員の7割が有給取得の希望があるということは、育休がとりやすい会社をアピールすることで、他の会社との差別化となり、採用の場面でも有利に働くことは間違いありません。


3、人材力のアップ
育休の取得によって、総合的な人材力が高まります。タイムマネジメント、同時並行遂行能力、リスク管理能力、仕事の引き継ぎに伴う同僚や後輩などの育成能力、などです。また、子育てに関わることで、会社とは異なるストレスへの耐性であったり、より広い視野を得ることができます。そして、それらの体験が、今後の仕事への取組みに現れてくるのです。仕事だけでない総合的な人材力のアップによって、労働生産性も高まります。


4、企業イメージアップ
前述の大手生保の場合、「男性でも育休が取得できる会社」とのイメージが社会に認知されました。企業の社会的責任(CRS)が叫ばれる中、今後はますます社会からの信頼や地域への貢献などが重要となってくるでしょう。CSR活動をする上でも、イメージ戦略はとても重要です。男性の育休取得を推進することは、あまりお金と手間をかけずにできる企業イメージアップの手段となるのです。



(三谷 文夫・社会保険労務士)

このニュースに関するつぶやき

  • ネットで検索した限り、その企業の取得日数って、1日から長くて1週間。それで「取得率」が上がるわけなんですね。1日でも仕事すれば失業者の枠内に入らないのと一緒ですね。「率」でなく「日数」を上げてほしいもの。
    • イイネ!65
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