会社員の楽しみの一つに、同僚とのランチがある。同じ会社の仲間と外で食事しながら、仕事に関する愚痴を言いあうこともあるだろう。だが、ときどき、「そんなことまでしゃべって大丈夫なの?」と心配になるほど、会社の内情を赤裸々に語る声が聞こえてくることがある。
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会社の経営状態や人事異動に関する内部情報について、他人に聞こえるような声でしゃべっている人がいる。おそらく本人に悪気はないだろうが、どこの誰に聞かれているかわからない。もしライバル企業の社員に聞かれていたら、大ごとになるかもしれない。
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そもそも、会社員が外食をしているときに、社内の情報を話すことは問題ないのだろうか。その会話から大切な情報が外部に漏れてしまった場合、会社から損害賠償を求められる可能性はあるのだろうか。労使関係にくわしい今井俊裕弁護士に話を聞いた。
「社員は会社と労働契約を締結し、その契約にもとづいて、労働時間中は会社の業務にあたっています。ただし、労働基準法やそれにもとづく就業規則の定めにより、一定の『休憩時間』があります。この時間は、原則として、労働から解放された自由時間であり、会社からの拘束を受けません」
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このように今井弁護士は述べる。ということは、何をしゃべっても良いのだろうか。
「いいえ。労働契約に付随する義務として、社員は、会社の機密事項等の重要事項を秘匿すべき義務を負っています。いわゆる、守秘義務です。
この義務は、休憩時間中や退社後も、継続しているのです。
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そうでないと、守秘義務の本来の意味がなくなってしまいますから。これは少し考えれば当然のことだと、理解できるでしょう」
たしかに、労働時間の間だけ守秘義務があるのだとしたら、秘密は守られない・・・。
「そうです。ですから、たとえランチタイム中でも、会社の機密事項などをうっかり漏らしてしまい、その結果、会社に損害を与えたとしたら、その社員には会社への賠償義務が発生します。たとえ故意ではなく過失で漏らしたとしても、賠償義務が生じます」
たとえば、漏らしてはいけないこととは、どんなことだろう。
「会社の業績見通しや合併等の事業再編の情報、新商品の開発や重要な人事情報などですね。それを横で聞いていた第三者がその情報を利用して株取引をすれば、インサイダー取引という大きな問題にも発展しかねません」
壁に耳あり障子に目あり。ランチ中は周りが耳だらけだと思いながら、おしゃべりしたほうがよさそうだ。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
1999年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における個人情報保護運営審議会、開発審査会の委員を歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URL:http://www.imai-lawoffice.jp/index.html
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