5年ぶり解放の米兵は裏切り者か

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2014年06月04日 18:40  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

 アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンによって拘束されていた米陸軍軍曹のボウ・バーグダルが先週、5年ぶりに解放された。だが、この知らせに誰もが手放しで喜んでいるわけではない。


 米政府はバーグダルの代わりにキューバのグアンタナモ米軍基地に拘束していたタリバンのテロリスト5人を解放した。共和党をはじめとする一部の米議員は、こうした「人質交換」はタリバンの戦力強化につながると批判。その上、バーグダルは英雄どころか脱走兵だったという疑惑が持ち上がっている。


 バーグダルの小隊の一員だった元軍曹のマット・ビールカントは、バーグダルは脱走容疑で軍事裁判にかけられるべきだと、CNNに語った。


 バーグダルは09年6月30日にアフガニスタンの駐屯地から姿を消し、5年にわたりタリバンに拘束されていた。現在はドイツにある米軍の病院施設に移送され、治療を受けている。


「彼が姿を消した当時はムカついたが、その後の成り行きにはもっとムカついている」と、ビールカントは言った。「バーグダルは戦争のさなかに脱走し、仲間の米兵は彼の捜索で命を落とした」。CNNによれば、アフガニスタン東部パクティカで行われたバーグダルの捜索で少なくとも6人の米兵が亡くなったという。


アメリカの戦争に幻滅?


 27歳の元上等兵ホセ・バゲットはCNNに語った。「彼は警戒任務の最中にいなくなった。逃亡したのか裏切り者になったのか誘拐されたのか、誰も知らない。分かっているのは、米軍を守るべきだった彼がアメリカに背を向け、自分勝手に行動したということだ。なぜそんな決断をしたのか分からないが、私たちは彼の捜索のためにさまざまなものを犠牲にした。数人の米兵の命も犠牲になった」


 バーグダルへの怒りをぶつけようと、ソーシャルメディア上に「ボウ・バーグダルは英雄なんかじゃない」と題したウェブページを開いた米兵もいる。敵意に満ちたコメントが寄せられたが、こんな声もあった。


「彼を裏切り者だと決めつける人には、武装勢力に5年間拘束されてみろと言いたい。それでもまだ彼を非難できるだろうか。彼が逃亡するなり拘束されるなりした時にどういうつもりだったにせよ、彼はもう十分過ぎる代償を払った」


 ローリングストーン誌は12年、バーグダルがアメリカの戦争に幻滅していたと報じた。彼は両親にこう話していたという。「嘘にまみれて時間を浪費するのはもったいない。人生は短いから、他人のゴタゴタに付き合ったり、ばかな奴らの間違った考えに協力したりする暇はない。彼らの考えをずっと目にしてきて、僕はアメリカ人であることすら恥ずかしく思う。アメリカ人がどっぷり浸かっている独善的で傲慢な態度は恐ろしい。すべてがぞっとする」



マーシー・クレイター



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