6月5日、日本サッカー協会理事会が行われ、その場で横浜FCに所属するFW三浦知良をJFA(日本サッカー協会)のアンバサダーとしてブラジルへ派遣することを承認した。今回の派遣は以前に存在していた引退選手を対象としたJFAアンバサダー制度とは異なり、あくまで臨時の肩書きとなる。
記者会見に臨んだ大仁邦彌会長はブラジルと日本の縁の深さ、その友好関係について解説した上で、現地から記念式典への日本代表チーム派遣の要請があったことを述べた。ただ、ブラジル・ワールドカップを戦っている最中のチームに負担を強いることは「現実には難しい」(大仁会長)。
そこで持ち上がったのが“カズ派遣”という奇策だった。梅田邦夫駐ブラジル大使からの打診を受けたJFAは、J2リーグ戦開催期間とあって当初は否定的だったと言うが、カズが負傷療養中となっていたこともあり、「横浜FCからもカズ選手からも、『そういうことであれば協力したい』という回答をいただくことができた」(同会長)。
現時点の予定では13日に現地入りし、14日に日本とコートジボワールのゲームを観戦。17日に記念式典へ出席し、18日に帰国の途につく。大仁会長は一部報道にあった日本代表チームへの参画について、「代表チームとの関係について言えば、関係しない」と断言。「最も集中して大事にやらないといけない時期であり、カズ選手自身も『大事な時期だから』と言っている。一切関知しない」とも明言し、代表のキャンプ地であるイトゥ市にも寄る予定はないとした。
カズは現在リハビリ中とあって、現地にはトレーナーを帯同予定。復帰に向けたメニューをこなしながら、式典行事への参加などを行うことになる。「日本とブラジルの結び付きを象徴するような選手」(大仁会長)であるカズの現地での知名度は抜群で、ポルトガル語も堪能。両国の架け橋を担う今回の役割には、まさに打って付けの人材と言えそうだ。
文=川端暁彦