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気候の良い秋は、挙式にも最適のシーズン。自分や友人たちの結婚式が控えているという人も多いのではないでしょうか。結婚式といえば、最近では披露宴でのプロフィール紹介やエンディングロールといった映像演出を取り入れるケースが増えています。ここで欠かせないのがBGMです。この楽曲利用について、一般社団法人音楽特定利用促進機構(以下、ISUM)が、興味深い調査結果を発表していますので、ご紹介したいと思います。
○約8割の新郎・新婦が映像演出を利用
過去10年以内に披露宴を開催した新郎新婦800人を対象にISUMが調査を行った結果、70%の人が披露宴で映像演出を利用したと回答。さらに、過去3年以内に開催した400人に絞った場合、その割合は全体の80.5%にものぼったとのこと。披露宴での映像演出は、もはや欠かせないものとなっていることがわかります。
しかし、披露宴会場やブライダル業者に映像演出のDVD作成を依頼した新郎・新婦を対象に調査を行ったところ、披露宴で流した映像と、披露宴後に受け取ったDVD映像ではBGMが差し替えられていたという人が全体の11%もいることが明らかになったそうです。
「BGMが削除されていた」というケースまであるそうですが、一体なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
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○「披露宴での音楽著作権(複製権)」について、知らない人が7割強
ISUMによると、映像演出に使用したい楽曲をコピーしてCDやDVDなどにする場合、「著作権・著作隣接権の権利者に、許可・承認を得る必要がある」とのこと。ISUMの調査では、このことを知らなかったという新郎新婦は7割強。知っていた人は、3割に満たなかったそうです。
披露宴会場やブライダル業者がこの許可・承認手続きを省くために、BGMの楽曲の変更や削除をした可能性が考えられます。しかし、新郎新婦としては、勝手に楽曲を変更されると非常に残念。「なぜ、そんなことになってしまうの?」と、思うわけですが……。著作権に関する知識がなければ、その理由も対策もさっぱりわかりません。
そこで、ISUMの代表理事アレクサンダー・アブラモフ氏に、結婚式や披露宴の演出などについて、知っておいた方が良い著作権の知識について聞いてみました。
――楽曲の「著作隣接権」とはどういったものなのでしょうか? 「著作権」との違いは?
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「『著作権』は、特定の作品の歌詞を書いた『作詞家』、そして、その作品の曲を書いた『作曲家』が持っている権利のこと。日本音楽著作権協会(JASRAC)をはじめとする、作詞・作曲家からの委託を受けた著作権管理事業者が『著作権』を管理しています。
作品を世間一般に広めるためには歌唱や演奏が有効で、このようなパフォーマンスをレコーディングし、原盤(マスター)に固定(録音)したときに発生する権利が『著作隣接権』です。『著作隣接権』は原盤の制作者に帰属し、多くの場合はレコード会社が権利者となっています」
――つまり、市販音源をコピーして使用する場合には、著作権管理事業者とレコード会社、両者の許諾が必要になるというわけですね。新郎・新婦が披露宴で映像演出を行う場合、著作権に関してどういった点に注意するべきでしょうか?
「『ドラえもん』や『ハローキティ』といったキャラクターの海外における無断使用が『知的財産権の侵害』という形で報道されていることはご存じでしょう。じつは市販音源から無断で複製された音楽をブライダルシーンで使用することも、全く同じレベルの問題。権利処理がきちんとされた市販音源を使うことによって、安心して結婚式を演出していただきたいと思います」
市販音源には著作権や著作隣接権があり、ブライダルシーンで利用するためにコピーを作成する場合には許諾が必要だということ。まずは、これらをきちんと理解しておくべきでしょう。
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○どんなときに著作権・著作隣接権の権利者の許諾が必要なの?
それでは最後に、著作権者の許諾が必要になる具体的なケースを紹介します。
■披露宴やパーティーで流す楽曲
会場で流すBGM用に、お気に入りの楽曲を集めて1枚のCDやメディアに収録する場合。
■演出映像作品に収録される楽曲
プロフィールムービー、余興映像、オープニングムービー、エンドロールといった、披露宴当日に流す映像作品に楽曲を利用する場合。
■記録用ビデオに収録される楽曲
披露宴やパーティー当日の様子を撮影した映像に、会場で流したBGMや映像作品のBGMなどの楽曲が収録される場合。
「え? そんなときにも許諾が必要なの?」と驚いてしまった人も多いのではないでしょうか? 人生の節目となる大切な結婚式。それを後味の悪いものにしないためにも、著作権に関する知識をしっかり身につけておくことも必要ですよね。あなたはどう思いましたか?
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