遠野なぎこさんが元夫との「婚外契約」を表明 「任意後見契約」の注意点とは?

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2014年11月22日 12:31  弁護士ドットコム

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わずか55日でスピード離婚して話題になった女優の遠野なぎこさんが11月上旬、元夫の男性と「ある契約」を結ぶ予定だと告白した。


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報道によると、離婚後も元夫との関係が続いているという遠野さんは、これから結ぶ契約の中身について、「病気になったら面倒をみますよとかそういう内容。彼との絆がなくなってしまうのが寂しくて。別れたら破棄する」と話したという。これは正式にいうと「任意後見契約」という名前の契約で、年内にも結べるよう弁護士にお願いしているそうだ。



聞き慣れない言葉だが、「任意後見契約」とは、いったい何なのだろうか。そういう契約を結ぶと、どんな効果があるのか。小松雅彦弁護士に聞いた。



●判断能力が衰えた人へのサポート


「まず、成年後見制度の説明をしましょう。成年後見制度というのは、一言でいうと、『判断能力が衰えた人をサポートする制度』です。



何らかの事情で判断能力が衰えて、自分の財産を管理したり、日常生活を送るのに適切に対応できないような場合には、支援が必要ですよね。



成年後見制度は、判断能力がどれぐらい低下しているかに応じて、家庭裁判所が成年後見人や保佐人、補助人を選任して、本人のサポートをするというものです」



●任意後見って?


それでは、遠野さんが結ぶという「任意後見契約」とは、何だろうか?



「任意後見というのは、サポートをする任意後見人を、裁判所ではなく本人が選ぶという制度です。



任意後見人を誰にするか、また、どんな事務を委任するかを、本人が決定できますので、本人が希望する生活が送りやすくなるというメリットがあります」



任意後見人は、どんなことをするのだろうか?



「それは契約によります。任意後見人は、契約に定められた委任事項に従って代理権を付与され、後見事務を行います。たとえば、預貯金の払い戻しや介護契約、施設入所契約、訴訟行為などがあります。あまり代理権の範囲が狭いと十分な仕事ができません」



どうやって契約を結べばいいのだろうか?



「任意後見契約は、財産管理を他人に任せるなど、とても重要な内容の契約ですから、公証人が作成する『公正証書』という形をとる必要があります」



●「後見」はいつから始まる?


契約を結んだあと、どのタイミングで「後見」が始まるのだろうか?



「任意後見契約は、本人の判断能力が低下する前に、あらかじめ結んでおくことが多いです。その場合、実際に後見が始まるのは、本人の判断能力が低下したあとです。法定後見の補助程度で申し立ては可能です。



そうなった場合に、本人または任意後見人として選ばれた人や親族らが本人の同意を得て、家庭裁判所に申立をします。それを受けて家庭裁判所が、後見人を監督する人(任意後見監督人)を選びます。その時点ではじめて、『任意後見人』としての仕事が始まります」



契約を結ぶにあたって、どんな点に注意すべきだろうか?



「いくつかありますが、たとえば、『任意後見監督人』に報酬を支払う必要がある点には注意が必要です。任意後見人への報酬については、任意後見契約で定められますが、監督人への報酬は家庭裁判所が決めます。



また、申立が遅れると、適切な時期に任意後見契約の効力を発生させられない危険があります。



ほかに、判断力が低下した時期に任意後見契約を締結し、高額な報酬の契約をする危険があることや、任意後見人は法律行為を取り消す『取消権』がないので、悪徳商法に本人が引っかかったときの対応がむずかしくなることがあげられます」



小松弁護士はこのように指摘していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
小松 雅彦(こまつ・まさひこ)弁護士
後見・相続・遺言を多数取り扱う。「気軽に相談できる、親しみやすい法律家」をモットーに身の回りの相談にも対応している。薬害エイズ事件やハンセン病国賠事件、薬害肝炎事件なども担当した。
事務所名:オアシス法律事務所
事務所URL:http://komatsu6.com/



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