京都「青酸化合物」不審死事件――捜査のきっかけとなった「司法解剖」とは?

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2014年12月20日 13:51  弁護士ドットコム

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夫に青酸化合物を飲ませて死亡させたとして、京都府向日市に住む女性(68)が、殺人の罪で起訴された。死亡した夫だけではなく、他の結婚相手や交際相手が次々と死亡していたと報じられ、世間の注目を集めている。


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警察がこの事件を捜査するきっかけとなったのは、「司法解剖」だったとされる。夫の遺体に不審な点が認められたため、警察が司法解剖をおこなったところ、その体内から青酸化合物が検出されたのだという。



この司法解剖とは、どういう手続きで、どんな場合に実施されるのだろうか。医事法にくわしい鈴木沙良夢弁護士に聞いた。



●変死のケースで行われる


「病院で死亡が確認されるような一般的な死の場合、医師が『特に不自然な点がない』と判断すれば、病院から警察に連絡がいくことはありません。



司法解剖は、変死やその疑いのある死体を確認したときに、捜査機関が裁判所の許可を得て行う手続きです」



鈴木弁護士はこう述べる。おかしな点があれば、すべて司法解剖となるのだろうか?



「不審な点がある死体に対して、まず行われるのは『検視』です。



検視は、警察官や医師らが死体の様子を外側から調べるにとどまります。



そして、検視だけでは死因や死亡の時期がはっきりしない場合、『司法解剖』ということになります」



●検視との違いは?


司法解剖は「検視」とどう違うのだろうか。



「司法解剖は文字通り、遺体を解剖して調べる手続です。



そのため実施するためには、捜査機関は裁判所の許可(令状)を得なければなりません。



実際に解剖を行うのは、捜査機関から委託を受けた専門家である法医学者(多くは大学教授)になります。



司法解剖の結果は、鑑定書にまとめられます。結果的に事件性があると判断されれば、捜査機関が犯罪の捜査を行うことになります」



鈴木弁護士はこのように解説したうえで、「おそらく、今回のケースでも、死体に不審な点があったことを端緒として、検視→司法解剖というルートを経たのではないかと推測します」と話していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
鈴木 沙良夢(すずき・さらむ)弁護士
早稲田大学法学部卒業後、大東文化大学法科大学院を経て2006年に司法試験合格。2012年、鈴木沙良夢法律事務所開設。病院・医療法人のための法律問題解決サイト【医療法人.net】を運営。
事務所名:鈴木沙良夢法律事務所
事務所URL:http://www.iryou-houjin.net/



このニュースに関するつぶやき

  • 今回の事件と、最近発刊された話題の本で「後妻業」という生業を初めて知りました。お金の為に結婚するのは昔からよくある事だけど殺さなくてもいいんじゃないの。怖いわね。
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