母校に「寄附」した市長が公選法違反で書類送検 「赤い羽根募金」もダメなのか?

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2015年01月13日 16:11  弁護士ドットコム

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選挙区内にある母校の記念事業に現金を寄附したとして、兵庫県警は、同県加西市の市長や県議ら7人を公職選挙法違反(寄付行為)の疑いで、1月5日付で書類送検した。


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報道によると、市長らは2012年12月から翌年8月にかけて、母校である県立高校の創立90周年記念事業実行委員会に、それぞれ1〜2万円を寄附した疑いがもたれている。7人は、いずれも容疑を認めており、実行委員会は、全額を市長らに返還したという。



このニュースに対し、ネット上では「赤い羽根募金とか、お賽銭とかでもだめなのかな」など、素朴な疑問が多く見られた。公職選挙法では、どんなことが「寄附行為」として禁止されているのだろうか。中田圭一弁護士に聞いた。



●選挙区内で寄附したらダメ


「選挙の候補者や市町村議員等の公職にある者が、その選挙区内の者に対して寄附をすることは、公職選挙法で禁止されています。



個人だけでなく、団体への寄附も対象となります。たとえば、今回のように同窓会が中心となった実行委員会や、会社などに対する寄附も禁止です。



ごく限られた例外はありますが、基本的にはどのような名義であっても、禁止されています。したがって、たとえ母校の創立記念事業のためであっても許されません。



選挙や政治の腐敗を防止して、お金のかからない選挙を実現するため、このように厳しいルールが定められているのです」



●「赤い羽根募金」もダメ?


ネット上では、「赤い羽根募金」や「お賽銭」はどうだろうという疑問も出ていたが、どうなのだろうか。



「具体的に何が禁止される寄附にあたるかについては、各地の選挙管理委員会に質問して確認できます。



赤い羽根募金については、複数の選挙管理委員会が、『募金先の事務所等が自分の選挙区内にある場合は禁止される寄附に該当する』とする判断をネットで公開しています」



では、お賽銭はどうだろう。



「選挙区内の神社でお賽銭を投げ入れることも、形式的には寄附に該当すると考えられます。



ただ、実際問題としては、明らかに多額のお金を入れるなどしない限り、問題視されることはないでしょう。



投げ入れたお賽銭が10円玉だったのか、500円玉だったのかを立証することは困難ですしね」



中田弁護士はこのように説明していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
中田 圭一(なかだ・けいいち)弁護士
東京弁護士会所属。衆議院議員、参議院議員それぞれの政策担当秘書として、議員の地元と永田町の両方で勤務した経歴を持つ。現在、東京家庭裁判所の家事調停委員として家族に関わる問題解決に携わる一方、企業の顧問弁護士として、業務提携等について法的アドバイスを行っている。
事務所名:アクシアム法律事務所
事務所URL:http://www.axiomlawoffice.com/



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