再び「無罪」になったクラブ「NOON」無許可営業訴訟〜弁護団長に判決の意義を聞く

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2015年01月28日 14:31  弁護士ドットコム

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無許可で客をダンスさせるクラブを営業したとして起訴されていた、大阪市のクラブ「NOON」の元経営者・金光正年さんが、再び「無罪判決」を勝ち取った。風営法違反かどうかが問題となった裁判の控訴審で、大阪高裁が1月21日、第一審の無罪判決を支持し、検察の控訴を棄却する判決を言い渡したのだ。


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金光さんは2012年4月、大阪府公安委員会の許可を受けずにクラブ「NOON」を営業し、客にダンスをさせ、酒を提供したとして逮捕・起訴された。その後、イベント「SAVE THE NOON」や、ドキュメンタリー映画「SAVE THE CLUB NOON」を通じて、多くのミュージシャンやDJ、クラブユーザーが支援を表明していた。



クラブの営業規制をめぐっては、一定の条件をみたせば風俗営業の対象から外すとする風営法の改正案が国会に提出されていたが、昨年12月の衆議院解散でいったん廃案となった。こうした中、今回の判決にはどういった意義があるのだろうか。クラブ「NOON」裁判弁護団長の西川研一弁護士に話を聞いた。



●はじめは「有罪で当然」という雰囲気もあった


「今回の控訴審判決は、クラブ『NOON』での営業が風営法の規制対象営業に当たらないことを司法が再び確認したことに、大きな意義があります。



金光さんが公判請求された当初は、風営法違反なので『有罪で当然』といった雰囲気もありました。二度も無罪判決を勝ちとれたことは、本当に感慨深いものがあります」



西川弁護士はこのように述べる。そのうえで、風営法改正の議論と今回の無罪判決の関係について、次のように続けた。



「風営法改正との関係で気になる点は、3号営業の対象となるダンス類型です」



この「3号営業」というのは、風営法の2条1項3号で定められた営業のことだ。



「3号営業とは、接客行為なくダンスさせる飲食店営業のことで、これまでディスコや、ダンスクラブの営業がこれにあたると考えられてきました。



控訴審判決は、無罪の結論を導くにあたり、3号営業の対象となるダンスは、男性と女性が組になって踊る、いわゆるペアダンスであり、『NOON』で行われていたダンスはこれに当たらないと判断しました」



ペアダンスが行われているようなクラブなどは、今後も規制すべきだということだろうか。



「いいえ、これは法改正において、ペアダンスへの規制を維持すべきということではありません。



風営法が制定された当初は、ダンスホール営業において、売春が横行していたということが背景にありました。



しかし控訴審判決は、現代ではダンスホール営業と売春の結びつきは希薄化していることや、改正論議で競技ダンスなどを風俗営業とすることへの違和感があったことなども指摘しています」



裁判所も、風営法が時代遅れだと考えている?



「はい。控訴審判決も、3号営業規制がすでに時代遅れであると評価していることが読み取れると思います」



●ダンス規制の全面的削除を


「風営法の改正においては、ペアダンスも含め、ダンス営業規制を全面的に削除することが必要だと考えます。



一刻も早く無罪が確定して、金光さんが被告人の地位から解放されることと、今国会においてダンス営業規制削除の法改正がなされることに向けて、引き続き、ご支援やご協力をいただければと思います」



西川弁護士はこのように語っていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
西川 研一(にしかわ・けんいち)弁護士
弁護士法人・響の代表弁護士。大阪弁護士会所属。「SAVE THE NOON」訴訟に関わると共に、ダンス規制法改正運動にも尽力。取扱の多い案件は、交通事故、借金問題、遺産相続、離婚問題など。また、テレビや新聞、雑誌などメディア出演も多数。
事務所名:弁護士法人・響
事務所URL:http://hibiki-law.or.jp/index.html



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