小向美奈子さん、また逮捕・・・なぜ「覚せい剤」を繰り返してしまうのか?

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2015年02月16日 18:01  弁護士ドットコム

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タレントの小向美奈子さん(29)が2月上旬、自宅に覚醒剤を持っていたとして、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで、関東信越厚生局麻薬取締部に現行犯逮捕された。


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報道によると、小向さんは2月6日、東京・渋谷の自宅マンションに、覚せい剤約0.1グラムを隠し持っていた疑いが持たれている。麻薬取締部が家宅捜索したところ、覚せい剤の粉末や吸引器具が見つかった。麻薬取締部は、小向容疑者が覚せい剤を使用した疑いもあるとみて調べているという。



小向さんが薬物犯罪で逮捕されたのは、これで3度目だ。2009年に覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕・起訴され、懲役1年6カ月・執行猶予3年の有罪判決を受けた。また、2011年にも同法違反(譲り受け)の疑いで逮捕されたが、証拠不十分で不起訴処分になっていた。



今回、小向さんに実刑判決が言い渡される可能性はあるのだろうか。また、覚せい剤の再犯は絶えないが、どうしてなのだろうか。薬物事件に取り組む西谷裕子弁護士に聞いた。



●小向さんは「実刑判決」の可能性が高い


まず、覚せい剤を所持したり、使用した場合、裁判でどんな量刑が下されるのだろうか。



「覚せい剤を所持していた量や犯行の態様(ありさま)によって、多少増加することもありますが、初犯ならば、おおむね懲役1年6カ月で、3年間の執行猶予判決となります」



判決後、再び覚せい剤に手を出したとしたら、どうなるのか。



「執行猶予期間中はもちろんのこと、期間満了後であっても、相当の年数が経過していなければ、通常は実刑となります。



一度実刑になった後は、回数を重ねるごとに、前の刑より重い懲役刑が言い渡されます」



前の刑の執行猶予判決後、どれくらいの期間が経過していれば、再び執行猶予判決となるのだろうか。



「この点については、明確な基準があるわけではなく、前の刑の確定後8年とか10年と言われています。



小向さんの場合、2009年2月に執行猶予判決を受けたので、約6年が経過していることになります。弁護士の感覚としては、やや短いという印象です。



つまり、執行猶予は絶対にあり得ないとまではいわないけれど、実刑の可能性がかなり高いだろうと思います」



執行猶予になるには、どうすればいいのか。



「執行猶予を目指すなら、犯行態様が軽いということや、再使用してしまった経緯に酌むべき事情があること、前の執行猶予判決の恩恵を活かして更生意欲のある生活を送っていたこと、実際に一応更生を果たした生活を送っていたことなどについて、弁護側が積極的に主張、立証していく必要があります」



●薬物は「つらい思いをしている自分を慰めてくれる友人」


それでは、覚せい剤に何度も手を出してしまうのは、どうしてだろうか。



「身体的依存と心理的依存があるからです。



覚せい剤は、脳の報酬系という部位に直接働きかけるため、脳がその刺激を生存に有利なものと勘違いし、薬物を欲する回路がつくられます。



その欲求は、理性を超えた生理的・動物的なもので、思考より強く作用するため、『やめたいけど、やめられない』という状態に陥り、再び手を染めてしまうのです。これが身体的依存です」



心理的依存はどんなものだろうか。



「少し私見が入りますが、薬物依存の方に接していると、それぞれ何らかのかたちで、薬物に『心理的』に依存していると感じます。極端な言い方をすれば、彼らにとって、薬物は『つらい思いをしている自分を慰めてくれる友人』なのです。



もちろん、人によって原因は違います。幼少期の生育歴やそこで身に付けた感情パターンが影響していたり、家族の死による悲しみを乗り越えられなかったせいだったり・・・。



しかし彼らは共通して、何らかの痛みや生きづらさ、現実に正面から向き合えないという問題を抱えていて、それらを薬物で紛らわしているのです」



●執行猶予判決は、時間が経過すると現実感が薄れる


結局、執行猶予がつくと、再犯につながるのではないだろうか。



「執行猶予判決は、刑罰の予告による威嚇ですが、被告人にとってはあまり現実感がなかったり、時間が経過するにしたがって薄れていったりします。



そんな中で、いま感じている痛みやつらさを和らげ、現実逃避したいという欲求は強く、こちらが勝るために再犯に至るのだろうと考えています。



そのため、私が担当するときは、身体的治療と心理士によるカウンセリングを併用するようにしています。



小向さんの詳しい事情は存じ上げませんが、華々しい世界におられる分、内面に抱えておられる痛みや闇は大きかったのだろうと思います」



西谷弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
西谷 裕子(にしたに・ゆうこ)弁護士
大阪で更生のための刑事弁護をめざして、情状弁護を中心に取り組んでいます。薬物、クレプトマニア、性犯罪、ストーカー、裁判員裁判事案など様々な犯罪類型について扱っており、医師や心理士と連携しながら対応しています。
事務所名:リバティ総合法律事務所
事務所URL:http://nishitani.yuko-lawyer.com/



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  • 名前変えて知り合いがいないところで再出発くらいしないと、逃げられない気がする。売る側にとっては経験者は良いカモだから。
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