「入会金20万円でタレント紹介」 売春で摘発された「デートクラブ」の法的位置づけ

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2015年03月04日 12:31  弁護士ドットコム

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医師や弁護士などの男性を対象とした会員制の「高級交際クラブ」と称して、売春をあっせんしたとして、大阪市内のデートクラブを経営する男性が2月下旬、売春防止法違反(周旋)の疑いで逮捕された。


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報道によると、経営者の男性は今年1月、50代の歯科医の男性会員に対し、売春相手として女性会員を紹介し、紹介料2万円を受け取った疑いなどが持たれている。「生活のためにやった」と容疑を認めている。



このデートクラブには、19〜48歳の女性会員約170人が登録。男性会員は3万円を払って入会。女性会員の紹介を受けるごとに2万円を支払い、売春の対価として女性会員に3〜10万円を直接支払う仕組みだった。クラブが仲介するのは初回のみで、2回目以降は双方の意思に任されていたという。



入会金20万円、紹介料5万円のVIPコースもあり、客室乗務員やタレント、民放アナウンサー、レースクイーンなどを紹介することをうたっていた。



男女の交際を仲介する「デートクラブ」と聞くと、何となく怪しい感じもするが、法的にはどんな問題があるのだろうか。風営法にくわしい山脇康嗣弁護士に聞いた。



●「性欲」を満たす目的が明らかなら「風営法」の対象になりうる


「今回、ニュースになったデートクラブ(交際クラブ)についてですが、男性に女性を紹介するデートクラブ自体がただちに違法というわけではありません」



このように山脇弁護士は説明する。では、問題になるのは、どんなケースなのだろうか。



「『性欲を満たすため』の交際の仲介であることが明らかであれば、その営業態様によっては、風営法の規制対象となります。



たとえば、店舗を設けて、(1)面識のない異性との一時の性的好奇心(性欲)を満たすための交際希望者に、(2)店舗内において異性を取り次ぎ、または面会の機会を提供することによって異性を紹介する場合は、店舗型性風俗特殊営業として風営法の規制対象にあたります。すなわち、俗に『出会い系喫茶』と呼ばれているものです。



また、店舗を設けなくても、(a)異性の客の性欲に応じて、(b)その客に接触するサービスを提供する者を派遣する場合は、『無店舗型性風俗特殊営業』として風営法の規制対象となります。



今回のように、『デートクラブ』と称する業者の多くが、表向き、性的な接触を伴わない『健全な交際』の仲介をうたっているのは、風営法の規制を逃れるためという側面もあるでしょう」



法律ではなく、条例で規制しているケースもあると聞くが、どのようなものか。



「東京都では『デートクラブ営業等の規制に関する条例』を定めて、デートクラブの営業場所などを制限しています。



この条例では、規制の対象とするデートクラブ営業について、『客と他の異性の客との間における対価を伴う交際を仲介する営業』のうち、先ほど風営法の対象になることを説明した『出会い系喫茶』以外のものと定義しています。



つまり、東京都内でデートクラブを営業する場合は、『出会い系喫茶』にあたらない場合も、東京都公安委員会に届け出なければなりません」



●届け出ていても「売春防止法」に引っかかるケースも


では、東京都以外だと規制がなく、営業にあたっては特に問題もないということだろうか。



「『東京都以外では条例がないから何も規制されていない』とか、『東京都でも法律上は風俗営業ではなく、単に条例で規制されているだけ』と言われることがあります。しかし、いずれも不正確です。先ほど説明したように、場合によっては風営法の適用対象となりうることを忘れてはいけません。



たしかに、デートクラブそのものを規制する条例を制定している自治体は現在のところ、東京都だけです。しかし最近では、東京都以外のデートクラブでも、性欲を満たすための交際の仲介の側面を『自覚』する業者は、風営法にもとづく届出を行うところが増えつつあります。



『出会い系喫茶』が風営法上の店舗型性風俗特殊営業にあたるとされた風営法政令の改正(2011年施行)が影響していると言われています」



では、風営法にもとづいて、適切な届出を行なっていれば、法的に問題ないのだろうか。



「仮に、そのような届出を行なっていたとしても、売春防止法など他の法令の規制を免れるわけではありません。今回のニュースがまさにそのケースにあたるでしょう。



売春防止法は、売春の周旋、つまり売春をする人とその相手方の間に立って仲介することを禁じています。売春相手として『交際』を仲介すれば、当然に売春防止法違反として、処罰されることとなります」



山脇弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
山脇 康嗣(やまわき・こうじ)弁護士
慶應義塾大学大学院法務研究科修了。入管法・国籍法のほか、カジノを含む賭博法制(ゲーミング法制・統合型リゾート法制)や風営法に詳しい。第二東京弁護士会国際委員会副委員長。主著として『詳説 入管法の実務』(新日本法規)、『入管法判例分析』(日本加除出版)、『Q&A外国人をめぐる法律相談』(新日本法規)がある。「闇金ウシジマくん」、「新ナニワ金融道」、「極悪がんぼ」、「鉄道捜査官シリーズ」、「びったれ!!!」」、「SAKURA〜事件を聞く女〜」など、映画やドラマの法律監修も多く手掛ける。
事務所名:さくら共同法律事務所
事務所URL:http://www.sakuralaw.gr.jp/profile/yamawaki/index.htm



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