党から「除名」された上西小百合議員――でも「国会議員」辞めなくていいワケ

18

2015年04月06日 20:21  弁護士ドットコム

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

弁護士ドットコム

記事画像

衆議院本会議を病欠する前夜に知人と会食していたことや、「旅行疑惑」報道以降のメディア対応などが問題視された上西小百合衆院議員。「党のイメージを傷つけた」として、4月4日付けで維新の党から除名されたが、無所属で議員を続ける意向を示している。


【関連記事:上西議員へのテレビ局の取材手法「フェアだったか?」橋下大阪市長が記者に「逆質問」】



昨年12月の総選挙で上西議員は、小選挙区で落選したものの、比例で復活当選した。衆院選挙の比例代表は、個人名ではなく「政党名」で投票する。つまり、上西議員は維新の党が作成した名簿に掲載されていたからこそ、議員になれたわけだ。



維新の党の松野頼久幹事長は、上西議員について「議員辞職は求めるが、どうしても自分が無所属でやると言われると、今の制度ではどうしようもない」と述べている。現行制度では、党への投票で選出された人が、その党から除名されたとしても、議員であり続けられるのだろうか。憲法問題に詳しい作花知志弁護士に聞いた。



●その後が「無所属」ならOK


「結論から言えば、法的には問題なく議員を続けられます。



衆院選の比例代表で選ばれた議員が、選挙の際に所属していた政党以外の政党に所属した場合は、議員資格を失うことがあります(公職選挙法99条の2、国会法109条の2)。



しかし、上西議員は、維新の党から別の党に移るのではなく、今後は無所属で活動していくようですから、このルールには抵触しません」



作花弁護士はこのように述べる。なぜ、そのようなルールになっているのだろう。



「そもそも国会議員は、投票してくれた一部の人の利益を代表する存在ではなく、『全国民を代表する』存在とされています(憲法43条1項)。つまり国会議員は、選挙で当選して国会議員になった以上は、政党や支持母体に関係なく、国民全体の利益を考えて活動することが求められているのです。



そのため、いったん選ばれた議員は、もともと所属していた党を離れても、議員としての資格が原則保障される制度になっています。議員資格を奪われるのは、あくまで例外です。



国民の中には『おかしい』と考える人もいるかもしれません。しかし、支持母体の拘束を受けることは、支持母体の利益にはなるでしょうが、必ずしも国民全体の利益になるとは言えません。



仮にその議員が国民全体の利益を考えて行動したところ、支持母体の方針に反して除名されたとしても、国会議員としての身分は維持されるべきだ、というのが憲法の考えです」



上西議員が議員を続けることを疑問視する声もあるようだが・・・。作花弁護士は「もし、彼女が議員として不適格だというのなら、それは次回の選挙で、国民自身が判断することになるでしょう」と指摘していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
作花 知志(さっか・ともし)弁護士
岡山弁護士会、日弁連国際人権問題委員会、日本航空宇宙学会、国際人権法学会などに所属
事務所名:作花法律事務所
事務所URL:http://sakka-law-office.jp/



このニュースに関するつぶやき

  • …3000万のお給料が入るなら 簡単には辞めないよね。でも 辞めない意志があるなら 本会議を病欠したにもかかわらず フラフラと飲み会には出かけない真剣さがほしかったわな。
    • イイネ!5
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(16件)

ニュース設定