【アニメキャラの魅力】大人の事情に惑わされない!カッコイイ姐さん「フィー・カーマイケル」の魅力『プラネテス』

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2015年04月23日 09:30  キャラペディア

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(C)幸村誠・講談社/サンライズ・BV・NEP
『プラネテス』。聞き慣れないこの言葉は、古代ギリシャ語で「惑う人」転じて「惑星」という意味を持っています。本作品には、どうにもならない現実に直面し惑いながらも、生きることや愛することに真摯に向き合っていく人々が数多く登場します。まさに「惑い人」のタイトルの通り。

 ほんの少しだけ未来の地球と宇宙を舞台にした、味わい深く壮大な人間ドラマ『プラネテス』。今回は、気風が良くてカッコイイ大人の女性「フィー(フィー・カーマイケル)」の魅力を紹介します。


【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】


■頼れる船長!常にチームを引っぱる「姐さん」

 フィーは、宇宙開発会社「テクノーラ社」のデブリ課で働いています。デブリとは、捨てられて使われていない衛星などの「宇宙に浮遊するゴミ」のことで、デブリ課はそれを回収するのが仕事です。

 デブリ回収船・トイボックスの船長として、副船長の「ユーリ」、後輩の「ハチマキ」、「タナベ」とともにデブリ回収作業をおこなっています。船長のフィーの役割は、デブリの種類や軌道を分析し綿密な計画を立て、現場で予想外の事態が起こっても船の司令室から冷静で的確な作業指示を出すこと。普段は「会社員」としての割り切った態度に隠れていますが、実は誰よりもデブリ回収の仕事に使命感と誇りを持ち、デブリ課をぐいぐい引っ張っています。

 意外とうじうじ悩むハチマキに「暖かい所に引きこもっていてもなんの解決にもなりゃしない」「シャキッとしろ」と喝を入れたり、「愛」を振りかざして暴走する新人タナベを諌めつつ理解を示したり、無能な上司をビシッと批判したりと、フィーの叱咤激励なしに、デブリ課は動きません。「仲間を信じなければ何も始まらない」。常にそう思っているフィーの言葉は、叱る言葉であってもどこか温かいのです。

■自分の好きなことになると豹変!

 フィーが素に戻ってしまうほど、大好きなものが2つあります。

 1つめは“家族”。アメリカで専業主夫をしている旦那さんと、一人息子をとても大切にしています。普段は「怖くて頼れる船長」ですが、地球に帰った時には、良き妻・良きお母さんをしています。長期間の仕事でなかなか地球に帰れない時は、息子からのメッセージを読んで、自分を励ましているようです。

 2つめは“タバコ”。タバコが健康に害があるものとして、社会の中で嫌われているのはフィーたちの生きる未来でも同じこと。しかも、宇宙空間で皆が頑張ってなんとか人間の活動できる環境を維持しているにも関わらず、限られた空気をわざわざ汚すなんてけしからん!というのがフィーのいる時代の風潮です。そんな「嫌われ者」のタバコですが、フィーは大変な愛煙家なのです。会社にいる時は、一人タバコルームの「スモーカーズ・シート」を使っていますが、壊れて「スモーカーズ・シート」が使えなくなったり、長期の業務でなかなか会社や月面基地に戻れなかったりすると、タバコ切れで凶暴化します・・・。

 カッコイイ大人の女性が、自分の好きなものには、子どものように素直になったりワガママになったりしてしまう。フィーには、そんなかわいいギャップがあるのです。

■命がけの選択も即断!スカッと気持ちのよい潔さ

 常日頃からデブリ課のメンバーを叱咤激励しているフィーですが、その態度は誰に対しても変わりません。世界連合議長の息子が来てワガママを言った時には、一旦上層部の指示に従いながらも、最後には「出るとこ出てやろうか、このガキ」と啖呵を切り、ワガママ息子の傍若無人を止めました。日和見主義の課長補佐がバカなことをすればぶっ飛ばし、事業再編でデブリ課が存亡の危機にさらされれば皆を激励。

 フィーはいつも潔くサッパリとしています。フィーがそんな風にサッパリしているのは、自身のキャリアとも関係があるのかもしれません。吸収合併された他社からの転職組で、会社組織というものに対してどこか醒めた視点を持っています。なんだかんだ言いつつ、最終的には出世も上下関係も損得勘定も国境も、全てバッサリ切り捨ててしまう強さが、フィーにはあるのです。

 そんなフィーの潔い強さが最も表れているのがアニメ第12話。テロリスト集団・宇宙防衛戦線が「喫煙室に爆弾を仕掛ける」というテロを次々とおこなった結果、フィーは大好きなタバコをずっと吸えずにイライラ・・・。そんな時、トイボックスが回収する予定のデブリが、実はテロリストが宇宙ステーションを破壊するために飛ばした衛星だと判明します。このまま行けば、宇宙ステーションは大破、デブリは山のように増え、大惨事に見舞われてしまう・・・。

 愛煙家としてのイライラと、デブリ回収の仕事に誇りをもつ人間としての正義感が頂点に達した瞬間・・・フィーはキレました。デブリ回収のために船外に出ていたハチマキらを残し、単身トイボックスでテロリストの衛星に特攻したのです。衛星の軌道は外れ、トイボックスはバラバラに壊れて地球に落ち、宇宙ステーションは危機から救われます。自ら衛星に衝突、しかもトイボックスは大気圏内に入れない機体。正真正銘、命をかけた決断でしたが、フィーに迷いはありませんでした。時には自分の命も顧みない、一本筋の通ったフィーの潔さは、どこまでもカッコイイのです。

 仕事についての物語としても、愛についての物語としても重厚な『プラネテス』。一話一話の密度が濃く、緻密に張り巡らされた伏線は、後半に向かうにつれて一気に収束していきます。先進国と後進国の格差は埋まらないのか?会社組織の建前と人間としての倫理は一致できないのか?人と人は愛によって本当に解りあえるのか?自分の限界はどこにあるのか?様々なことを考えさせてくれるこのアニメは、何度観ても素晴らしいです。綿密に設計された宇宙船などの設定も魅力的です。ぜひ、ご自身の目でじっくり楽しんでください。


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【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】


★記者:水澤奈那子(キャラペディア公式ライター)

(C)幸村誠・講談社/サンライズ・BV・NEP

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  • (=゚ω゚)ノ 原作4巻の弱さが垣間見えるフィーも泣ける
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