ドローンの普及は止まらない。小型化と高性能化が進むと共に、低価格化も進んでいるため、個人で購入する人も増えてきただろう。
それと同時に、ドローンを使ってこれまでは難しかった場所やアングルでの撮影が可能になり、より面白い動画や画像を撮ってみたい、というチャレンジ意欲も高まっているはずだ。既にばんばん撮影しまくっているひともいるかもしれない。
しかし、注意が必要だ。撮影した映像や画像を公開する場合、内容によっては犯罪になってしまうからだ。知らなかったでは済まされない。
2015年4月28日から総務省は、ドローンによって撮影された映像や画像の公開について、注意喚起を行っている。
写っている物によっては違法行為
総務省は、ドローンで撮影した映像・画像をインターネット上に公開する際の注意について、総務省のホームページに掲載した。
|
|
映像や画像に、人物が写っている場合、写っている人物から同意を得ないままにインターネット上に公開することで、その人物のプライバシーや肖像権を侵害する危険があるのだ。そこで総務省は、ドローンで撮影した映像・画像を公開する際には、写っている人物のプライバシーや肖像権、さらには個人情報の保護に配慮しなければならないと呼びかけている。
もし、写っている人物の同意を得ることが困難である場合は、プライバシーや肖像権を侵害している箇所や個人情報に繋がる箇所にはぼかし処理を施すなどの配慮が必要になる。
この該当箇所というのは、解釈次第でかなり広範囲になるから注意が必要だ。まず思い付くのは顔や車のナンバープレートだろう。これらは公開の同意が得られていなければまずぼかすべきだ。他にもうっかり見逃してしまうのが表札だ。これも注意しなければならない。
また、個人の生活状況が推測できてしまう物が写ってもまずい。例えばベランダに干された洗濯物などだ。これらも何気なく写ってしまいそうだが、法的保護の対象となり得る。
浴場や更衣室、あるいはトイレ(ここまでくると変質者だが)など、衣服を身につけていない状態を撮影してしまった場合は、刑事上、つまり軽犯罪法の対象となる可能性がある。たとえうっかりでも、犯罪となるのだ。
|
|
今回、注意を呼びかけられたのは個人だけではない。インターネット上で動画や画像を公開するサービスを提供している事業者にも、削除依頼があれば対応できる体制を整備することが求められている。
撮影や公開前のチェックは細心の注意を
おそらく、殆どのドローン利用者は、悪意を持って空撮を行うことはないと思うが、カメラがどんな物を撮影してしまうかは、まさにドローン目線でなければ分からないのだ。したがって、動画や画像を公開する前に、注意深くチェックする必要がある。
そうするとやっかいなのは、撮影している映像をリアルタイムで公開している場合だ。いつ違法行為となる撮影をしてしまうか分からない。ドローンで空撮を楽しんでいる人は、総務省のホームページを熟読し、撮影時には細心の注意を払って、公開前にも入念なチェックや加工処理が必要であることを肝に銘じたほうがよいだろう。