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2050年の段階で再生可能エネルギーで電力をすべてまかなうという目標は“正しい”のだろうか? 正解は簡単にはでないはずだ。しかし、決断をしなければならないこともある。
ハワイ州議会で、2050年までに電力のすべてを再生可能エネルギーでまかなうという法案が検討されている。
化石燃料への依存を減らす
この法案が検討されている理由のひとつには、現在のハワイ州が消費しているエネルギーが、輸入された化石燃料に大きく依存しているということがある。より強い地域経済を確立するには、外部への資金流出をふせぐためにも地元の再生可能エネルギーにシフトするべきだという考えかただ。
また、近年代替エネルギーの技術はめざましい進歩を遂げていて、新しい市場や雇用や地域のエネルギー源の創出が起きているということもある。
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そういった情勢を踏まえて、ハワイではすでに2030年までに再生可能エネルギーの割合を40%に増やそうという目標を立てている。そして今回は、より長期的な視野に立って、再生可能エネルギーの割合を2035年までに70%、2050年までには100%にするよう義務づけるというものだ。
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大手ホテルが反対
しかし、ハワイのニュースサイト『CIVIL BEAT』によれば、シェラトン、ロイヤル・ハワイアン、ウェスティンなど同州の最大規模のホテルを擁するスターウッド・ハワイがこの法案に反対する陳述書を提出したという。彼らは、電力コストを抑えるために天然ガスで独自の発電を行っているのだ。そして、それによって効率的に電力を作ることができ、利用客にとってメリットが大きいコスト削減ができているのだという。
また、『CIVIL BEAT』は、あわせてこうも報じている。現在ハワイで風力発電、太陽光発電を行っているデベロッパーは、一定量の電力を捨てているのだという。それは、ハワイ州電力会社のひとつであるHECOの配電網がそれを扱いきれないからだ。
そして、マウイにおいてはじつに風力発電の40%が捨てられていたという。HECOはその廃棄電力の量は減らしているといっているし、新しい蓄電池の導入で、将来的に問題は解決するとしているとしている。
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単純に、「化石燃料をやめて再生可能エネルギーに転換する」という面だけをみるなら、ガス会社や石油会社は別としてだれでも賛成だろう。
しかし、現実はそう単純ではない。再生可能エネルギー100%にすることが可能だとしても、その設備を作る工程、設備が寿命に達したときにリニューアルする工程、バッテリーや太陽光パネルを廃棄する工程までを見たときに、全体で環境負荷が大きくなってしまうのであれば意味がない。
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また、エネルギー転換のためのコストをだれが負担するのか? 最初は大企業が負担するような形にしても、それは電気料金や雇用や賃金といった形で一般市民に押し寄せてくる。あるいはハワイの場合、宿泊料金が上がれば、観光客がその他のアクティビティにかける費用を削らなくてはならなくなる可能性もある。
そういった場合に往々にしてダメージが大きくなりがちなのは低所得者層だ。可処分所得が少ないからである。再生可能エネルギーを活用するための技術は今後急速に発展していくだろう。しかし、35年後になにが可能になっているのかを予測するのはむずかしい。
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現代のエネルギー政策は、そういった技術革新をあるていど予想しつつ、技術開発のための助成も判断し、また市民へのダメージが最小限になることも配慮して決断しなければいけない状況なのだと思う。いちはやく再生可能エネルギーへの転換を目指すことには、それなりのリスクも伴う。
今後われわれ日本人ひとりひとりも、そういった決断を迫られるようになっていくだろう。その際には、「温室効果ガスを出す発電方法かそうでないか」という面だけでなく、製造・建築工程での環境負荷、廃棄・維持工程での環境負荷、そして社会的・経済的影響も含めて判断していかないといけない。
そのためにも今後大いに参考になるのが、ハワイ州のように先進的政策を採ろうという例になるはずだ。
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