椅子を「作る」のではなく「収穫」する。イギリスの椅子が生える木とは・・・

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2015年06月06日 20:50  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

椅子が生える木があるのはご存じだろうか。

とは言っても木を加工して椅子を作るのではない。文字通り、木が成長すると椅子になるのである。

fullgrown2

自然を相手にした長い戦い

この椅子は、椅子自体が木なのである。継いだり貼り合わせたりすることなく一本の木が椅子にの形に育つのだ。

その椅子を育てているのは英国『Full Grown社』の代表Gavin Munro氏だ。彼は10年かけ、木を椅子の形に育てる技術を独自で開発したのだ。

理論はそんなに難しい話ではない。椅子の形に作られたフレームに沿うように木にひねりを加え育てていくというものだ。ただ現実は簡単ではない。必ずしも思い通りに生えてくれるわけもなく、かといって力を加えすぎると枯れてしまう。

病気にもかかるし、天候が原因で枯れることもある。椅子の形に不要な芽や枝は剪定する必要があり、どれを剪定すべきかを見誤ると取り返しがつかない。

彼が木を植えはじめてすでに10年経つが、最初の収穫は約1年半後である。10年近く自然を相手にし、やっと手に出来る椅子なのだ。

fullgrown

10年分の価格設定

この椅子の価格は2,500ポンド(約48万円)だ。10年分の労力を考えれば高くはないかもしれないが、椅子としては非常に高価なことは間違いない。椅子のほか、同様の製法で作られたランプシェードが900ポンド(約17万円)、鏡が450ポンド(約85,000円)と中々の値段である。

つまり、これはただの家具ではなく10年かけて作られるアート作品なのだ。実際に約2年後の2017年の発売開始にも関わらず、アメリカ、フランス、香港、スペイン、ロンドン、ドイツなど世界中から既に注文が入っている。

自然を巧みに操りつつ、自然と共に作り出すアート作品。気軽に買うことは出来ないだろうが、一度は座ってみたいものである。

このニュースに関するつぶやき

  • 20年位前に、この記事を目にしていたら亡父が庭で試みそう。どの木が捻りに強いかとか、横からの力が加わっても割れにくいか、成長が早いかとか研究しただろう。ユーカリはどうかな?
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