NASAは大気中の温室効果ガスの濃度に応じて、地球上の温度と降雨パターンが2100年までにどのように変化していくかという予測データを公開した。
データは21の気候モデル上でシミュレーションされた二酸化炭素の増加シナリオに合わせたシミュレーションとなっており、世界中の気候の変化が予測されている。
その解像度は高く、個々の都市や町といったスケールでの毎日の変化が確認できるほどになっている。
科学者などがこれらのデータを利用すれば、干ばつや洪水などといった気候リスクへの対応策を立てることに役立てられるだろう。
NASAとしては、自分たちが地球について宇宙から学んだことを、世界中の人々が利用する事で、地球温暖化に対処する方法を計画するために役立てて欲しいということらしい。
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温室効果ガスの排出パターン別のシミュレーション
この新しいデータセットは、カリフォルニア州のモフェットフィールドにあるエイムズ研究センターのNASA Advanced Supercomputing Center内にあるビッグデータ研究プラットフォームによる、NEX(NASA Earth Exchange)の最新作だ。
NEXは2013年にも、米国の農業や森林、河川、そして都市における気候リスクを投映したデータを発表していた。
NEXの研究者であるRamakrishna Nemani氏は、「これは気候研究のための基本的なデータセットとアプリケーションの評価だ」と語り、「NASAはNEXプラットフォーム上で、科学的なコラボレーションと知識の共有、研究開発の促進のために、コミュニティーベースのデータを提供し続けるつもりだ」と続けている。
このデータセットには、世界中で測定されたデータと第5期結合モデル相互比較計画(CMIP5)の気候シミュレーションのデータが統合されているという。
そして現在最高のシミュレーションモデルを使い、二つの異なるシナリオでシミュレーションを行ったということだ。
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異なる二つとは、一つは温室効果ガスの排出レベルが現状維持の場合で、もう一つは排出が激増した場合だ。
11テラバイトの気候データ
NASAの気候予測は、1950年から2100年までの期間について、15.5マイル(25キロメートル)の細かさで世界中の将来の気温と降水パターンを見ることができる。
そのデータ量はなんと11テラバイトにのぼった。
NEXのデータと分析ツールは、Amazon Web Services上のOpenNEXプロジェクトを通じて利用することが可能になっている。このはプロジェクトはNASAとAmazonの協力関係によって提供されている。
つまり、NASAは我々が地球に対する理解を深めることで、世界中の研究者や機関が、よりよい地球環境に貢献できることを期待しているというわけだ。
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筆者は地球温暖化懐疑論にも興味があるため、このようなデータや姿勢を真に受けて良いかどうか判断しかねるが、地球環境について世界中の研究者達が研究を行うための材料は、多いほうがよいのだろうと思う。