嗅覚障害や便秘はパーキンソン病初期症状の可能性!?

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2015年07月27日 12:00  QLife(キューライフ)

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タンパク質の一種「α−シヌクレイン」が発症に関与

大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学教授 望月秀樹先生

 身体のふるえやこわばり、動作が遅くなる、まっすぐ立つのが難しくなるといった運動症状が生じるパーキンソン病。その原因として、脳内の黒質にあるドーパミン神経細胞が減少(脱落)し、神経伝達物質であるドーパミンが不足することは知られていました。ところが、これまではなぜドーパミン神経細胞が減少するのかは解明されていませんでした。謎を解くカギとして、近年注目を集めているのがタンパク質の一種「α−シヌクレイン」です。

 1997年に家族性パーキンソン病の患者さんでα−シヌクレインの変異が発見されたことに続いて、大部分を占める孤発性パーキンソン病の患者さんでも、α−シヌクレイン疑集体の沈着が認められました。この沈着までのスピードがパーキンソン病発症までの時間差として現れる、と長年パーキンソン病の研究を続ける大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学教授の望月秀樹先生は語ります。

 「遺伝的にα−シヌクレインがたまりやすかったり、作り過ぎたり、除去できなかったりする人はパーキンソン病になるだろうといわれています」と望月先生。動物実験でも、α−シヌクレインを過剰発現させたマウスに、パーキンソン病の症状が現れたことから、パーキンソン病の発症におけるα−シヌクレインの関係性は高いものと考えられています。

運動症状が現れる前に早期発見できる可能性も

 運動症状が特徴的なパーキンソン病。しかし、近年、その発症前から異変は起こっていることが分かったと望月先生は語ります。「全身性の疾患であるパーキンソン病は、運動症状が出る前から、うつ症状や嗅覚障害、便秘などの症状が出ることがあります」。実は以前から患者さんたちはこれらの症状を訴えていましたが、お薬を飲んでも改善しないことから、別の病気や原因によるものと考えられていました。しかし、この嗅覚障害と便秘にもα−シヌクレインの沈着が関与していることが明らかになりつつあります。

 α−シヌクレインは脳をはじめ人体のいたるところに存在しています。そして、脳内の嗅覚をつかさどる領域や、なんと腸管の神経にも蓄積していることが近年の研究によって判明しています。「黒質にα−シヌクレインが蓄積するから嗅覚障害が起こるのではなく、脳の別の場所でα−シヌクレインがたまり、その後、黒質にもたまるのです」(望月先生)

 パーキンソン病におけるα−シヌクレインの関与についての研究は未だ道半ば。望月先生は、「鼻や腸など外と接している神経からα−シヌクレインがたまっていくことから、パーキンソン病の発症は、外からの影響を受けているのではないかという説もあります」と研究状況を語ります。並行して、α−シヌクレインを標的とした予防・治療法の開発も行われつつある、とのこと。「欧米ではすでにα−シヌクレインをノックダウンするための抗体薬やワクチンの開発が行われています」と望月先生。α−シヌクレインを標的としたパーキンソン病の早期発見と治療、今後のさらなる研究に期待が寄せられます。(QLife編集部)

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  • この報道は行き過ぎかと。報道の仕方に問題あり。便秘単独でという伝え方をすると、かなりの人がこれに入り、不安を抱えてしまう方が続出するのでは?
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