【小町の法律相談】アパートの大家さん、ゴミ袋を勝手に開けていいの?

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2015年08月07日 11:11  弁護士ドットコム

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(この質問は、「Yomiuri Online」の人気企画「発言小町」に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)


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ゴミステーションにゴミを捨てる時、勝手に誰かが空けないだろうかと気になったことはありませんか。YOMIURI ONLINEの掲示板「発言小町」に寄せられた質問について、梶山正三弁護士に聞きました。


Q. アパートの大家さん、ゴミ袋を勝手に開けていいの?

私の住んでいるアパートの大家さんの行為に困っています。


アパートの前には、家庭ごみのステーションがあり、収集日になると、大家さんは、アパートの住人が捨てたゴミ袋をわざわざ開けて、ゴミの分別がちゃんと守られているか、中身をチェックするのです。


いくらゴミとは言え、プライバシーを探られているようで、不愉快な気分になります。


あるアパートの住人は、「不燃ごみが混じっていたわよ。気をつけてちょうだい!」と大家さんに怒られたそうです。


ゴミ袋の中にあった領収書から、誰が捨てたごみなのかが分かったそうです。


また、別の住人が、大家さんに「ゴミ袋を開けるのはやめてほしい」と話したところ、「いったん捨てたら、もうあなたの所有物ではないのだから、開けようと何をしようと、私の勝手でしょ!」と逆切れされたそうです。


大家さんの行為をやめさせることはできないものでしょうか。


(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)


A. 大家さんの行為はプライバシー侵害で違法です

「ゴミの元の所有者には管理責任と権限があります」


やめさせることはもちろんできます。まず、大家さんの行為はプライバシー侵害で違法です。


また、大家さんは「所有物でなくなった物に対して、元の所有者は何の権利もない」ことを主張していますが、それは誤解です。


ゴミとして所有権を放棄しても、ゴミに対する管理権限や責任が無くなるわけではありません。


それが世の中に迷惑をかけず適切に消えていくまでは、元の所有者に管理責任があるのです。


責任を果たすためには権限が必要ですので、元の所有者には管理する権限があるということになります。


責任と権限についてもう少し考えてみましょう。


所有権を放棄しても、それを公園に捨てれば「不法投棄」という犯罪行為になります。


有害物質を排出する工場や放射性廃棄物を放出する原子炉は、その放出物について工場や原子炉事業者に所有権はないとしても、管理責任と管理権限はあります。


ですから、人や自然を汚染・破壊すれば違法行為として責任を問われるのです。


もし、農薬入りの毒団子を路上にまき散らした人がいたとしましょう。


その人が毒団子の所有権はないと主張しても、それを食べた犬が死んでしまった場合、責任を免れることは難しいでしょう。


話をまとめると、ゴミステーションに出したゴミについては、それが社会的に適切な方法で処理されるまでは、元の所有者に管理責任・管理権限があります。


大家さんやっていることはその権限を侵害しているといえますので、法律的にはやめさせることができます。




【取材協力弁護士】
梶山 正三(かじやま・しょうぞう)弁護士
東京都公害研究所職員から転身。関弁連公害環境委員会の委員長を6年務める。宇都宮大、滋賀大、東大、埼玉大等の非常勤講師。2000年〜現在、「闘う住民と共にゴミ問題の解決を目指す弁護士連絡会(ゴミ弁連)http://gomibenren.jp/」会長。
事務所名:駒ヶ岳法律事務所
事務所URL:http://www.yama-ben.jp/office/245/


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  • 確かに開けられるのは嫌だな。その為にも、ごみの分別は気を付けないと。
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