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(この質問は、「Yomiuri Online」の人気企画「発言小町」に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)
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飲み会の幹事を頼まれた時、お店選びには気を使うでしょう。そんなお店選びで、ついうっかりキャンセルするのを忘れて、思わぬトラブルが生じることもあるようです。YOMIURI ONLINEの掲示板「発言小町」に寄せられた質問について、西田広一弁護士に聞きました。Q. 事前説明もなくキャンセル料を要求する飲食店。対応に問題はない?
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会社の取引先との懇親会を開くことになり、幹事を任されました。
会場候補のA店とB店に予約を入れ、最終的にA店を会場に選びました。
B店の予約はキャンセルするはずでしたが、うっかりキャンセルし忘れてしまいました。
懇親会の当日、B店から携帯電話に連絡が入り、「一人9000円のキャンセル料が発生します」とのこと。
席を予約した際に、自動的に一人1万5000円のコースが設定され、それに対するキャンセル料が発生したのだそうです。
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しかし私が予約した時には、お店の人からコースのことや、キャンセル料についての説明はありませんでした。
キャンセル料が発生するのはやむを得ませんが、納得できないところがあります。
お店の対応は普通のことなのでしょうか。
(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです。トピ「飲食店のキャンセル料について」はこちらhttp://komachi.yomiuri.co.jp/t/2015/0708/720776.htm)
A. 「お店はキャンセル料を請求できます」
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相談者とB店との間では、予約をした時点で料理を提供し代金を支払う契約が成立したことになるでしょう。
今回、相談者は、予約をキャンセルしたことになりますが、それは債務不履行というもので、損害賠償義務を負います(民法415条)。
B店が事前にキャンセル料が発生することを伝えていなくても、損害賠償という意味のキャンセル料が請求できます。
キャンセル料の額については、文書で明記されたものがない場合、当事者の合意があればその内容に従うことになります。
もし合意がない場合には、社会的な慣習に従うこととなるでしょう。
今回のケースでは、B店はキャンセル料を定めていて、損害賠償の予定がされていたと言えそうですが、事前の説明をしていなかったため、当事者の合意がないと言わざるをえません。
また、いくらのキャンセル料が妥当かという慣習があったともいえないでしょう。
そうすると、B店としては、実際に被った損害の賠償請求だけができます。
つまり、他のお客さんの予約を入れることができたのに、今回の予約の件の影響で入れることができず、本来得られたはずの利益を失っているのであれば、それを証明して、賠償請求をすることが可能になるということです。
その際に、食材については、他のお客さんに回すことができるのであれば、金額を相殺できる分もあるでしょう。
法律的な解説は以上になりますが、相談者が予約しておきながら、キャンセルをし忘れるというのは明らかに重大なミスです。
現実的には、B店がいうキャンセル料を支払って丸く収めるのが妥当だと考えられます。
【取材協力弁護士】
西田 広一(にしだ・ひろいち)弁護士
1956年、石川県小松市生まれ。95年に弁護士登録(大阪弁護士会)。大阪を拠点に活動。得意案件は消費者問題や多重債務者問題など。大阪弁護士会消費者保護委員会委員。関西学院大学非常勤講師。最近の興味関心は、読書(歴史小説)、食品の安全、発達障害など。
事務所名:弁護士法人西田広一法律事務所
事務所URL:http://law-nishida.jp
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