【小町の法律相談】賃貸マンションが「ペット可」から「不可」に、退去しないとダメ?

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2015年09月04日 10:41  弁護士ドットコム

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賃貸マンションで猫と暮らしている方から、「突然、マンションがペット不可になってしまい、困惑している」との相談が寄せられました。退去はやむを得ないとしても、大家さんから立ち退き料をもらえないのでしょうか? 石川和好弁護士に聞きました。

(この質問は、「Yomiuri Online」の人気企画「発言小町」に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)


Q. 賃貸マンションが「ペット可」から「不可」に、退去しないとダメ?


賃貸マンションに猫と一緒に暮らしている会社員です。大家さんが突然、全入居者に「当マンションは『ペット不可』です」などと書かれた通達を配布し、困惑しています。 数年前、不動産屋さんで「ペット可」の物件を探し、今のマンションに入居することになりました。ところが先日、別の入居者が飼い犬を巡って近隣住民とトラブルを起こしたことから、大家さんが「ペット不可」に変更することにしたらしいのです。


大家さんは「新しい部屋が見つかり次第、退去してほしい」と言います。新しい部屋に引っ越すにしても、礼金・敷金、引っ越し代など多額のお金がかかります。大家さんから立ち退き料をもらうことは可能でしょうか。


A. 「ペット不可」を理由に退去を求めることは契約違反


「退去する必要はありません」 今回のケースでは、貸し借りしたマンションが「ペット可」であることは、大家さんと入居者との契約となっています。大家さんは、この内容に拘束されますから、入居者がペットを飼っていることを理由に賃貸借契約を解除することはできません。ですから、入居者は退去しなくてもかまいません。 「こうなったら、住みにくいので退去したい」という人もいますよね。残念ながら、入居者には、相談内容にあるような「立ち退き料」という名目ではお金を請求する権利はありません。 ただし、損害賠償という名目なら請求できます。大家さんが一方的に「ペット不可」を理由に退去を求めることは、契約違反です。 ですから、入居者は、契約違反で蒙った引っ越し代などの損害を賠償請求すればよいのです。 もし入居者が、ペットの鳴き声や異臭などが原因で近隣に迷惑をかけている場合は、損害賠償を請求できるとは限りません。近隣への迷惑を理由に、大家さんは賃貸借契約を解除できるので注意してくださいね。




【取材協力弁護士】
石川 和弘(いしかわ・かずひろ)弁護士
平成9年弁護士登録。主たる取扱い分野は、建築、不動産、交通事故、相続。モットーは、「分かりやすい説明と迅速な対応」

事務所名:弁護士法人札幌・石川法律事務所
事務所URL:http://ishikawa-lo.com/


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