アダルト動画を見ようとスマホの画面をのぞきこむと、顔写真を勝手に撮影されて、「500ドルを払わらなければ、写真をばらまくぞ」という脅し文句が表示される――。そんな世にも恐ろしいAndroid用のスマホアプリが見つかったとして、米セキュリティサービス会社が注意を呼びかけている。
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問題になっているのは、「Adult Player」(アダルト・プレイヤー)というアプリだ。アダルト動画を見ようと起動させると、その人の写真を知らないうちに撮影する。その後、「今すぐ支払わなければ写真をばらまくぞ」「スマホ内のデータを削除するぞ」という脅し文句を表示し、画面をロックして「身代金500ドル」を要求するというものだ。
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米セキュリティサービス会社のサイトには、アプリを削除する方法も紹介されているが、人によっては、心臓が凍りつきそうなほど恐ろしいアプリといえるのではないだろうか。こんな悪質なアプリを提供する行為は、何らかの法律に触れないのだろうか。深澤諭史弁護士に聞いた。
「今回のようなソフトウェアを『ランサムウェア』といいます。ランサムとは、英語で『身代金』という意味ですね。
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これは、データのばらまきを予告したり、または逆にデータを暗号化して、『やめてほしい・復旧してほしいのであれば、金銭を払え』と脅迫するものです」
深澤弁護士はこう説明する。このようなソフトウェアを提供する行為は罪に問われないのだろうか。
「利用者に被害を与えるソフトウェアを作成・提供したり、人に実行させる行為は、不正指令電磁的記録に関する罪に問われます(刑法168条の2)。
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その態様やソフトウェアの詳細な内容にもよりますが、今回のケースは、この罪に該当する可能性が高いでしょう」
お金を要求している点はどうだろうか。
「『アダルト動画を見ようとした人』として、その人の写真をばらまくことや、データの削除という害悪を予告しており(脅迫)、かつ、それを道具にお金を支払わせようとしているので、恐喝罪が成立する可能性が高いでしょう(刑法249条)」
もし仮に、写真をばらまかれることを恐れて、お金を支払った人は、後から取り戻すことはできるのだろうか。
「基本的に、このような犯罪で支払ってしまったお金を取り戻すことは困難です。相手は、犯罪だと知りながらやっているわけですから、収益の隠ぺいには念には念を入れているはずです。
なので、被害に遭わないように対策することが、何よりも大事です」
どんな対策があるのだろうか。
「たとえば、セキュリティ対策ソフトを導入すること、出所の怪しいソフトウェアは使わないこと、評判を聞いて(裏を取って)から利用すること、などがあります。
かつて、マルウェア(コンピューターウイルスなど、不正な動作をさせて害を与えるソフトウェア)は、単に破壊行為をするだけで、作成の動機も単なる愉快犯であることがほとんどでした。
しかし昨今は、今回のランサムウェアのように営利目的でおこなわれ、その態様も悪質・巧妙化しています。コンピューターの安全も、自分で守るという意識が求められていると思います」
深澤弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
深澤 諭史(ふかざわ・さとし)弁護士
ネットやコンピューターにまつわる法律事件を中心に取り扱う。ネット選挙の法務では関係者向けの講演などを実施。近著に「その『つぶやき』は犯罪です(共著、新潮新書)」がある。
事務所名:服部啓法律事務所
事務所URL:http://hklaw.jp/
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