「同姓同名」容疑者がネットで炎上して「飛び火」が怖い! 中傷記事の削除は可能?

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2015年09月30日 12:11  弁護士ドットコム

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「自分の名前をネットの検索エンジンで検索(エゴサーチ)すると、同姓同名の凶悪犯罪者への非難や中傷がヒットしてしまう」。東京都内の大学に通うMさんは最近、同姓同名の人物が集団強姦事件の容疑で逮捕され、ネットで炎上したことに頭を悩ませている。


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Mさんの氏名は比較的珍しい名前で、それまではネットで検索しても他の人物がヒットしたことはなかった。しかし、事件後にエゴサーチをすると、同姓同名の逮捕者に対する中傷が書き込まれたウェブページが検索に数多くヒットする。



中身を見ると、「人間やめろ」「生まれてきたのが間違い」などと容赦ない言葉が書き込まれていた。中には、写真や住所など、容疑者の個人情報をさらしたものもあり、Mさんは「飛び火」のような感じで、自分の情報が間違って載せられるのではないかと怖くなった。



同姓同名の人物が凶悪犯罪の容疑で逮捕され、ネットで炎上していたら、黙って見ているしかないのだろうか。何か法的な対応はできないのだろうか。ネットの誹謗中傷問題に詳しい野口明男弁護士に聞いた。



●「名誉毀損」に当たる場合は削除請求ができる


「インターネット上で悪評が立てられた場合の法的な対処方法は、次のとおりです。



(1)掲示板やブログ等の管理者に対する投稿記事の削除請求を行う


(2)発信者を特定して損害賠償請求を行う


(3)記事が検索エンジンの検索結果に表示されないようにする」



野口弁護士はこのように述べる。今回のケースでは、何か対応できるのだろうか。



「Mさんの場合、ネット上に多数存在する集団強姦事件に関する記事が、『Mさんに対する』名誉毀損にあたるときは、以上のような対処ができる場合があります。



ただ、問題は、これらの記事や書き込みが『誰を対象とした記事なのか』という点です。



記事に書かれた人物に関する情報(年齢、所属など)から、一般の読者が、対象人物はMさんだと理解してしまうような場合であれば、その記事はMさんに対する名誉毀損に該当することになり、記事の削除等が可能となると考えられます。



一方、一般の読者が、対象人物はMさんではないと考えるような記事であれば、Mさんに対する名誉毀損とはいえません。



集団強姦犯人の写真や住所などの情報が記載されている記事は、Mさんではなく他人を対象としていることが明らかであり、削除等の対処は難しいでしょう」



●対応を誤ると、かえって炎上が悪化するケースも


結局、Mさんはどう対処すべきだろうか。



「まずはそれぞれの記事ごとに、その記事がMさんに対する名誉毀損にあたると言えるのかどうかを検討し、Mさんの名誉が毀損されているといえる記事について、個別に削除請求等の対処をとることになります。



ただし、炎上が収まらないうちに記事の削除等を行っても、また新たな記事が作られるだけで十分な効果はありません。削除請求の方法やタイミングを誤ると、かえって炎上を悪化させてしまう可能性もあるので、慎重に対処方針を決める必要があると思います。



対処する記事の選定や対処方針は、できれば専門家のアドバイスを受けながら決めていくことが望ましいでしょう」



野口弁護士はこのように述べていた。



(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
野口 明男(のぐち・あきお)弁護士
インターネット上の名誉毀損への法的対応を専門とし、掲示板サイトやブログでの誹謗中傷被害に悩む多数の相談に応じている。豊富な経験に基づき、記事の内容や掲載サイトに応じて、顧客ごとにオーダーメイドの対処方法を提案する。
事務所名:日本リーディング法律事務所
事務所URL:http://j-jurist.com/meiyokison/


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  • ちゃんと犯罪者の顔写真も乗っけとけば解決するじゃん。そっちも間違えられてたらどうしょうもないけど。
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