肝臓病患者の3人に1人が訴える“かゆみ”。その原因は?

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2016年04月05日 18:00  QLife(キューライフ)

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脳が直接刺激されて感じる中枢性のかゆみ

東都医療大学 ヒューマンケア学部教授 鈴木剛先生

 肝炎の症状に「かゆみ」があることは、それほど一般的には知られていません。虎の門病院の肝臓病患者さん342人に実施したかゆみについてのアンケート調査によると、122人が『かゆみがある』と回答。そのなかで従来のかゆみ止めを使用した人が約47%。しかし、かゆみ止めを使ってもかゆみが残ったり、良くならなかった難治性のかゆみがある人は約44%だったことが分かりました。

 こうした、肝臓病における難治性そう痒症は、患者の生活の質(QOL)を低下させる原因のひとつと言われており、そのかゆみに対する治療が課題になっています。大日本住友製薬株式会社は、東都医療大学 ヒューマンケア学部教授の鈴木剛先生らを招き、肝臓病のかゆみの実態について都内でプレスセミナーを開催しました。

 肝臓病のかゆみの特徴としては、肝炎、肝硬変、閉塞性黄疸などによる胆汁のうっ滞が原因となり、全身にかゆみが生じます。鈴木先生は、「肝臓病のかゆみは、皮膚の異常を原因とする末梢性のかゆみと違い、体のなかでかゆみを誘発するβ-エンドルフィン等が増えて、脳が直接刺激されて感じる中枢性のかゆみです」とメカニズムを説明。

 そのため、「皮膚に病変がなくてもそう痒感があり、かゆい部分を掻いても緩和されず、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などを投与しても有効でない場合が多いです」と、切実な悩みになっている状況を語りました。また、原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者さんでは、そう痒発現率が69%という報告があり、そのうち74%の人はかゆみによって睡眠が妨げられているといいます。

近年は非アルコール性脂肪性肝炎などが増加

 虎ノ門病院分院長の熊田博光先生は、「このような難治性の慢性肝臓病患者さんのかゆみに対する治療薬として、2015年5月からナルフラフィン塩酸塩が使用できるようになりました」と、新たな選択肢として期待を込めました。

 熊田先生は、「肝臓病のなかで最も患者数が多いC型肝炎がほぼ治癒するという時代がきている一方で、栄養過多等による脂肪肝やアルコールを飲まない人でもなる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などが増加しています。自覚症状がないこれら肝臓病の早期発見とともに、かゆみの治療などを行い、患者さんの生活環境を良くしていくことにも力を入れていく必要があるのではないでしょうか」と見解を述べました。(QLife編集部)

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