アメリカで話題の太陽光電力アダプター・プラグ「SunPort」【中編】 開発者が語る「ソーラー革命」への夢

0

2016年12月02日 11:20  FUTURUS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

ソーラー・ムーブメントで地球の将来を守りたい

アメリカで話題の太陽光電力アダプター・プラグ「SunPort」。コンセントに差し込むだけで100%の太陽光電力が使えるようにするという、世界初のプラグイン・スマートグリッド太陽光電力デリバリーシステムだ。第2回では開発者、ポール・ドロージュ氏に、「SunPort」の製品哲学と今後の展開、同社が進める他の太陽光電力推進プロジェクトについて語ってもらった。

Sunportを選ぶことはライフスタイルを選ぶこと

――「Sunportを選ぶことはライフスタイルを選ぶこと」とおっしゃっていますが、この製品の存在価値をどのように定義されますか?

SunPortは太陽光エネルギーの需要を喚起する消費者の選択であり、能力だと思います。それがコンセントに差し込むだけでできるのです。フェアトレードのコーヒー豆や有機食品を購入したりするのと似ています。製品の使用感にあまり差異はないかもしれませんが、生産における考え方や製造行程には大きな差があるのです。

――SunPortのコア・ターゲットはどういう層に設定されていますか。

都市部に住むミレニアル世代ですね。いわゆる「知識労働者」で、モダンな生活のコンセプチュアルな面に慣れていて、「SunPortを使うことを、地球を守りたいという自らの信条の表現のひとつと捉えている。ライフスタイルの選択により、また自らの価値観に沿った行動をとることにより、世界を変えていきたいと思っている人たちです。

――クラウドファンディングへの反応はどうですか? 当初の予測、そして実際は?

Kickstarterは勉強にはなりましたが、容易ではありませんでした。自分たちでPRを作り、自分たちのクラウドを導入しないとうまくいかないのです。私たちは懸命に働き、援助もたくさん得ることができました。しかし我々が世に出そうとしているものはまったく新しく、ちょっとわかりにくいアイデアだったので、キャンペーンがうまく行くかどうか確信は持てませんでした。それでもKickstarterによって露出が増え、顧客および潜在的顧客とたくさんのやり取りをすることができました。それは我々のメッセージをより明確にしてくれ、最終的には注文も収入も得ることができました。

――アメリカとヨーロッパでは再生エネルギーや太陽光エネルギーに対するスタンダード、意識の違いがあると思いますか。

概してヨーロッパの人のほうが再生エネルギーのことをよく知っているし、環境的な理由から再生エネルギーを好む傾向があります。アメリカ人が再生エネルギーに関心を持つのは価格的な理由が主で、再生エネルギーのほうが安くつくかもしれないとか、投資のリターンが見込めるかもしれないというのが多いです。とはいえ、それでも数多くのアメリカ人が環境的なベネフィットのために再生エネルギーを使いたいと思っているのも事実ですし、もし手軽に、手頃な値段で使えるなら、ぜひ使いたいと思っているのです。

――アメリカやその他のエリアでの売り上げはどうですか?

他の国でも売り上げはあるのですが、現在はアメリカでの販売に注力しています。アイデアが新しすぎるのか、まだ目標売り上げには達していませんが、市場を啓蒙していきたいと努力しています。海外市場に進出するには、プラグの形や製品安全証明書の規格が各国で異なるため、各国の仕様に合わせた別ヴァージョンを製造せねばならず、コストがかかってしまうという問題があります。太陽光電力市場とエネルギー関連の法律や規則も各国で異なるため、今のところ海外市場に乗り出すのはむずかしいというのが現状です。

――SunPortは日本でも使えますか?

日本でも使えないことはないのですが、まずプラグの形が違うので、アダプターが必要です。また、SunPortが消費する太陽光エネルギーのクレジットは現在、アメリカの太陽光発電所からのみ来ているので、日本でSunPortを使っても、アメリカにおける太陽光電力の需要喚起にはつながりますが、日本市場には効果を及ぼさないのです。それでも太陽光電力を使用していることにはまちがいないし、グローバルベースで考えれば太陽光電力を推進することにつながるとは言えます。

どんな電化製品やサービスも太陽光発電消費に換算できるプラットフォーム

――SunPortは御社の旗艦商品ということですが、他にはどんな製品がありますか。

CloudSolar®という、SunPortに太陽光電力のミクロクレジットを届けるオンライン・プラットフォームが我々のコア商品です。このプラットフォームはどんな電化製品やサービスも太陽光発電消費に換算できるようにします。例えば、太陽光発電によるホテルの部屋、音楽祭、スマホを太陽光電力で動かすアプリなど……。SunPortは我々が作った唯一のハードウェア商品ですが、次に考えているのがその「たこ足版」です。

――SunPortに企業のロゴなどを入れたプライベートレーベル版を作り、ブランドプロモーションのキャンペーンツールとして使う案を提示されていました。これまでの企業の反応はいかがでしたか?

残念ながら、まだ我々のビジネスの重要な一部にはなっていません。これは先々、製品のいくつかの面を簡素化し、製造コストを抑えて低価格化を実現、市場でより幅広く受け入れられるようになれば、もっとうまく行くと思います。

――SunPortのWIFIとBluetooth版も開発中と聞きました。これらの製品は開発のどの段階にありますか?将来はどんな製品を作りたいですか?

SunPorのBluetooth版はすでに完成して販売されています。WIFI版はまだ開発していませんが、たこ足版にはWIFIを用いたいと考えています。現在力を入れているのは、「SunPort」の太陽光電力消費機能を用いた、ホームオートメーション関連商品の開発です。これにより、太陽光電力を消費するもっと大きな市場を作り出せると信じています。(了)

【参考】

※ SunPort™ – Demand Solar. Anywhere. Instantly. by Paul Droege – Kickstarter

動画・画像が表示されない場合はこちら

    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定