哀れ感に賢者に甘えん坊 猫のエサくれアピールが面白い

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2017年01月24日 13:13  おたくま経済新聞

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哀れ感に賢者に甘えん坊 猫のエサくれアピールが面白い

 我が社に動物記事のコンサルタントとして元フリー(野良)の猫社員が入社し1年がすぎました。 初期の頃は元フリーとあってか若干とがった雰囲気を漂わせ、人間社員となれ合うことはそこまでありませんでしたが、それも1年がすぎ今や社内のムードメーカーになっています。


【元の記事はこちら】


 猫社員はフリー時代、都心のある地域のトップ(ボス猫)として活躍していた経歴を持っています。若手の台頭に押され業界を離れることになるまでは、特にエサに困ることはなかったらしく、縁あって我が社に入社した時点でもやや肥満気味の体型でした。以来、老齢ということもあり日々分割払いされる給与(エサ&おやつ)は、与える時間、量ともに人間社員により管理されています。しかし、自由気ままな食生活が長かったためか、今でも時間外に欲しがることがしばしば。


 初期の頃は「もっとくれ」と猛烈アピールしていたのですが、誰も相手にしないと分かるとこの頃は、「よよよ、僕はごはんを食べてない哀れな猫です(フラッ)」みたいな演技を行い、人間社員の席をあちこち巡回するようになりました。あまりの役者ぶりに何となく気になり周囲の愛猫家仲間に聞いてみると、どうやらこうした演技は猫社員に限らず、野良から飼い猫まで幅広く行われているようす。


 猫たちはエサを欲しがる時一体どんな演技やアピールをし、そして飼い主達にはどいういう風にうつっているのか?気になったので調べてみるといくつかパターンを見つけることができました。エサをゲットするために、あれやこれや知恵を絞る猫たちの可愛くもほほえましい、でもちょっと憎たらしい行動の数々。本稿では少しだけご紹介。


 念のため書いておきますが、今回参考にした全ての猫ちゃんたちは「決められた時間に適量のエサを貰っている子」たちです。規定では物足りないという、食いしん坊猫ちゃんたち渾身の演技・アピールなので、その点ご安心を。


▼大騒ぎパターン


足下で鳴き続け、「僕水しか飲んでません!超腹減ってます!餓死しそう!」と言っているかのように猛烈アピールをしてくる。


飼い主は大騒ぎ=「エサかおやつが欲しい」と分かりやすいので、決まった時間外の場合「はいはい」とたしなめられるケースが多い。もしくは、あまりにうるさいので妥協しちょびっとオヤツを貰えるか。どちらにせよ満足いく量は得られないため、猫的に目標達成度は低い。


▼哀れ感演出パターン


フラッフラで歩いてきて「もう……何日もごはんを食べてません…」みたいな哀れ感を醸しつつ静かに目で「エサくれ」アピールしたり、空のエサ皿をじっと見つめ背中に哀愁を漂わせつつ無言で主張したりする。ある猫の場合にはエサ皿の前に寝転がり、空をみつめ皿を静かにいじっているというケースもあった。とにかく、「静かに」「哀れな雰囲気を醸し」飼い主の気を引きエサをゲットしようとする。猫にとって高い演技力と経験が求められるため、若い猫より中堅以上の猫でこのケースは行われている。


家族世帯や複数人いる環境の場合、「あれ、誰もエサやってないのかな?」と勘違いされ、エサゲットできるケースが多く目標達成度は高い。特にカモられやすいのが家族のお父さんという証言がある。調査に協力いただいた複数の方が「家の猫は絶対”お父さんちょろい”って思ってそう」と語っている。


▼貰ってないふりパターン


食後すぐに「貰ってない!」「エサが消えた!」と表情や行為で主張するパターン。


普通に「もっとくれ」とねだっても貰えることが少ないための工夫と思われる。もちろんあげた直後なので引っかかる飼い主は少ない。しかも、猫の年齢によっては飼い主は「もしかしてボケた?」と余計な不安を抱えるため、場合によっては「病院にGO!」という猫にとって最悪の事態を招くこともある。


▼賢者パターン


「よくぞ来た、勇敢な若者よ」とでも言わんばかりの、ファンタジーの賢者感を醸しつつ飼い主を待ち構え、背中で「ついてこい」とアピールしながら先導してエサ皿まで誘導。これだけなら騙されることは少ないが、エサ皿まで行くと足に絡みつき甘えるケースが多いため、猫的目標達成度はやや高め。


このパターン時は猫独特の妙な高貴感を漂わせているため雰囲気にのまれ「どうしたのかな?」とエサ皿までついて行ってしまう飼い主が多い。そして締めの甘えには弱く「仕方ないわねオヤツだけでも」とついあげてしまう飼い主が少なくない。しかし何度も同じ事を繰り返す傾向があり、次第に飼い主も慣れ終いにスルーされることも少なくない。


▼甘えん坊パターン


足下にすりすりしたり、座っていると膝の上にのってきて「私かわいいでしょ、可愛いよね」と言わんばかりの可愛さアピールをまず行ってくる。その後、飼い主が萌えだすとエサ皿にさりげなく誘導。つぶらな瞳で見上げトドメの「おねだりフラッシュ」を目で送りエサアピール。(個体によってはその場で手を甘噛みしたり舐めたりしつつ「おねだりフラッシュ」を送ってくることもある)
なお、エサを貰えた時のお礼のすりすりも欠かさないため、キャバクラにはまった客がごとく何度もひっかかる飼い主が多い。


家族世帯の場合お母さんにはほぼ通用しないが、相手によって目標達成度は抜群に高い。カモられやすいのは中学以上の子供かお父さん。特にお父さんが弱く、ある家庭の目撃証言によると「猫のために深夜に魚を焼いて、箸で骨を取りながらあげてた」という、魚はもとよりお父さんまで骨抜きにされたという報告もある。なお、このパターンは単身世帯の場合、男女問わずにカモとなる。


 今回聞いた人数が6家族と少ないため、これが全てに当てはまるというわけではありませんが、それでもいずれの家庭でも言われていたのが「お父さんがとにかく甘い」ということ。
 猫が一時あまりに太ってきたので、ダイエットさせようとしたところ、一番の天敵は「お父さん」という話も聞かれました。なお、上記パターンはどれか1つと言うわけではなく、状況に応じ猫は使い分けているようです。


 猫に甘えられるとついつい……という気持ちは分からなくもありませんが、でも長生きしてもらいたいからこそそこはグッとこらえ、我慢してもらわなければなりません。弊社もしょっちゅう社長や男性社員がカモられているので、女子社員で一層目を光らせて行こうと改めて思いました。


(宮崎美和子)


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