ここ数日、けっこう私のネタ元となっている、「クリエイターと読者をつなぐ」ことを目的とする電子メディア媒体『cakes』に、
「バーにやってきたオジサンと若い女の子。バーテンダーが『負けた』と思った理由」
といったタイトルのコラムが掲載されていた。どうやら林伸次さんという現役のバーテンダーが書いている原稿であるようで、その林さんが働くバーに来店する「オジサン」たちの振る舞いやコミュニケーションから、「20代の女の子をかっこよくデートに誘う方法」を分析する主旨である。
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で、まず最初の議題は「20代の女の子とデートに行くときはどういうところに行けばいいのか？」。
バーの常連っぽいオジサンたちが挙げる必勝法は、「最近の若い男子はクルマを持っていないから、山梨のワイン農園あたりにドライブ行こうって誘えば、ベタでも新鮮だから喜んでくれる」やら「最近の20代女子は回る寿司しか行ってないから『美味しいお寿司屋さん見つけたから』と誘えば、ほぼ全員がOKしてくれる」やら「星付きのレストラン」やら、いかにもピントのズレた“チョイわる発言”のオン・パレードで、「ああ、このヒトたち、こーやって金だけ払わされてセックスもできずにカモられてるんだなあ…」と思わず哀れみさえ禁じ得なかった次第であるが、さすが人を見るのが仕事のバーテンダーだけあってか、林さんはお次の議題「本当にかっこいいオジサンって…？」で、その“上から目線”の愚かさをあっさり撤回している。
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林さんによると、「40代後半から50代くらいの男性と20代女性の組み合わせ」は会話の内容がだいたい二つのパターンにわかれるのだという。
一つ目は、男性が「あの仕事は俺がやったんだよ」などと延々昔の自分の栄光時代を語るパターン。そのとき女性は「そうなんですかぁ」とか「すごーい！」を連発するのだそう。
二つ目は、女性が男性に恋愛や仕事の相談をするパターン。会話の主導権は基本的に女性が握っており、男性は年齢を重ねた人ならではのアドバイスを返すのだそう。
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「正解はどちら？」と問われれば、どう考えても後者なんだが、林さんは先日自分のバーに来店した50代半ばの男性と20代の女性の会話を聞いて、“もう一つの正解”を導き出している。
その男性は、連れの女性に対し「合コンの女子がするかけひき」「Facebookとの距離感」「LINEの使用頻度」……ほか、まるで取材だと言わんばかりの質問攻めに終始していたのだという。そして、林さんは猛省する。「僕、負けました。まだ若造の40代男性の僕が、偉そうに若い女の子をどうやってエスコートしようか、なんて考えてたの、大間違いでした」と。
その心意気たるや良し！（←偉そう）仕事上での上司・部下の関係あっても、いくら年齢差が20歳30歳あっても、いったんデートに誘ってしまえば、その男女は、もはや食うか食われるかの“対等な立場”なのだ。「旺盛な好奇心こそ一流の証」とはよく言われるが、「デキる男」ならぬ「ヤレる男」は、たとえば合コン・Facebook・LINE……といった、あきらかに若い世代のほうがスキル的に上なコンテンツがあれば、安いプライドなんてかなぐり捨て、貪欲に情報を聞き出し「オジサン」ではなく「年齢不詳なオニイサン」を装うのである。
さて。それではここで、まだ「正解」が明かされていない様子である最初の議題「20代の女の子とデートに行くときはどういうところに行けばいいのか？」について、私なりの持論を展開してみよう。
高級な寿司屋やレストランやクルマは「緊張するから苦手」だという20代女性は、イマドキ少なからずの割合で間違いなく実在する。だから、初デートは二人合計15000円程度のビストロやバルやちょっと洒落た居酒屋でかまわないと私は思う。そこで「行ってみたいデート」についての徹底取材を試み、その結果「回らない寿司」「星付きフレンチ」「ワイン農園や温泉にドライブ」……といった回答を得たなら、それを実行すればよい。
逆に「ファミレス」「チェーン系居酒屋」「井の頭公園」……といった回答を得たなら、やはりそれを実行すべきだろう。なぜなら、どんなにしょっぱいスポットでも、彼女にとってはそこが一番落ち着く場であるからだ。そう！ かつて『Hot Dog PRESS』あたりでも呪文のように、こう唱えられていたではないか。「ターイングポイントとなるデートは一回目ではなく二回目」なのだから。
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