後半に入ってすぐだった。47分に左サイドから山中亮輔が上げたクロスに対し、中町公祐が左足を振り抜く。ようやく決めた今季初ゴールに、スポンサーボードを飛び越え、ゴール裏へと向かった中町。両手を広げ、サポーターの歓喜を全身で感じていた。
マルティノスの少し強めのパスに「相手のラインを見ながら、オフサイドにならないように飛び出した」という山中が、左サイドをえぐる。ニアに走り込んできた齋藤学、ファーに動いたウーゴ・ヴィエイラ、そして中央にいた中町。パスコースは3つあったが、山中は「そこまでの余裕はなかった」と明かす。「マチさん(中町)かどうか分からなかったけど、マイナスのところに誰かいるなというイメージはあったので、感覚で出した」
前半は相手FWの小川慶治朗の動きに苦しめられた。小川の飛び出しをケアするあまり、ディフェンスラインをなかなか上げられない。攻撃を組み立てようにも後ろとの距離が遠くなり、分厚い攻撃を生み出せなかった。そこで、ハーフタイムに話し合ったという。
「そこを修正して、自分としては(相手の)ボックス内に入っていかないと攻撃に厚みがでないという中での後半立ち上がりだった」
そんな中で生まれた今季初ゴールなだけに喜びも大きかったはずだが、本人は「昨年は6点を取っているので、ある程度そこで自分の価値は高められている」と涼しい顔。
今季はチームの若返りやケガなどの影響もあって、なかなか満足できる出場機会を得られていない。しかし、川崎フロンターレとの神奈川ダービーから3試合連続スタメンに、チームも自身も上り調子だ。「あとは学じゃないですか(笑)? 『置いていかないでよ〜』って言ってたからね」と、なかなかゴールが決まらない齋藤に笑顔でハッパを掛ける余裕を見せた。