東スポによると、名古屋市が犬のフン放置問題に“イエローチョーク大作戦”で切り込む……らしい。で、この「大作戦(笑)」を簡単に説明すると、
市内の住宅地や公園に放置された犬のフンを発見次第、回収するのではなく、目立つように周囲をぐるりと黄色いチョークで囲んで発見日時を記し、飼い主自身による処分を促す試み
……なのだそう。
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京都府宇治市が最初にこの大作戦を導入し、それなりの効果を上げていることに目を付け、「フン害に憤慨している地域で実践してみてはどうか」と吉田茂名古屋市議(54=自民)が提案したという。
いったい誰が、道端に堕ちている犬のフンをせっせと探し、発見するごとに黄色いチョークでマーキングする、まさに“汚れ役”を担当するのか……と言えば、とりあえずは保健課や自治会有志にお願いすることになるみたいだが、ボランティアに近いかたちでたくさんの人を巻き込みながら、ここまで地道でやるせない作業をコツコツ繰り返すだけで、はたして本当に「効果は上がる」のか……みたいな一抹の疑問を抱く御仁も少なからず、かもしれない。しかし! 私個人の“経験”に照らし合わせてみるかぎり、「コイツはけっこうな効果があるのでは…」とにらんでいる。
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これは私が未成年だった高校生時代、もう約40年も前の“粗相”なので、「時効」って感じで許していただきたいのだが、昔、こんなことがあった。
夜、とある友人の家に遊びに行ったときの話──その友人の家は、駅から歩いて15分ほどの場所にあり、当時そこまでの道のりは市内(大阪府池田市)にもかかわらず、畑しかないのどかなもので、もちろんコンビニも公園も一切なかった。そして、私は駅から歩いて7〜8分くらいの地点、つまり「駅と友人の家との中間地点あたり」で、急に猛烈な便意に襲われた。
「駅に戻るか友人の家まで突っ切るか」と逡巡しながら、もじもじしつつ、なんとなく「友人の家」をチョイスしたわけだが、どうにもこうにも我慢できず、結局は柵のない畑に入り、不謹慎極まりないのだけれど、用を足してしまい、どうにか事なきを得たのである。
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ところが! 友人の家に泊まったゴメス少年は、次の日の朝──駅へと向かう道の途中で、とんでもないものを目の当たりにするハメとなる。
なんと!! 私が昨日、用を足してしまった畑の中から一本の旗がそびえ立っており、
「ここに糞したヤツは人間じゃない!
犬以下だ!」
……と手描きの荒々しいタッチの筆文字で書かれてあったのだ。せめて尻を拭いたティッシュペーパーはビニールにでも入れて持ち帰ればよかった……と後悔もしたけれど、それ以前に自分のやったモラルを欠いた行い(れっきとした軽犯罪?)が真剣に「犬以下」だと、軽く一週間は自己嫌悪と罪の意識に悩まされた。
東スポの取材を受けた吉田茂(←それにしても、すごい名前ですな)名古屋市議は、
「チョークで目立たせておけば“誰かが見てる”という羞恥心を持って片付けるようになるんじゃないか」
……とコメントしているが、私もそのとおりだと思う。そして、そのチョーキングに
「犬のフンを放置する人間は犬以下だ」
……とでも書き加えておけば、よりいっそうのダメージを犬糞放置者に与えることもできるのではなかろうか。
さて。私はつい先日、このcitrusで『蛭子能収の「エッセイ」論。“現役コラムニスト”のワタクシからみても素晴らしい!』というタイトルのコラムを寄稿したばかりだが、そこで蛭子サンが
「自分が傷つくことならどんどん書く。(中略)精神的にグサッとくるかもしれないけど、そんな覚悟がないなら、エッセイなんか書かないほうがいいですよ」
……なんてことをおっしゃっており、今回はその金言に感銘を受け、あえて公で恥を晒してみた次第であった。