約30年続いたフジテレビ系の長寿バラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』が、2018年3月に終了することが正式発表された。
「これでとんねるずもいよいよオワコンか…」といった誹謗中傷もなくはないが、それよりは30年間も生き存えた奇跡のバラエティ番組を率いてきた石橋貴明と木梨憲武を賞賛する声のほうが、メディア上では目立っている様子……な気がする。
じつのところ、今まで私はとんねるず、とくに石橋貴明のことがあまり好きじゃなかったんだけど、「みなおか」の終了発表以降、あちこちから漏れ伝わってくる“石橋発言”の数々を耳や目にするたび、「やっぱ、このヒト…すごいんだ」と、石橋嫌いの私ですら再評価せざるを得なかったりする。たとえば、東スポで極楽とんぼの山本圭壱はこう振り返る。
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「とにかく流れに身を任せろと。任せておけば必ず海に出られるからっていう話をされたことがあるんですよ。だから川を上流に向かってガンガン泳いでも仕方ない。逆流してもしょうがない。そうじゃなしにリラックスして、とにかく川の流れに身を任せなさい。海に出てからが勝負」
また、東スポによると、石橋は6年前、相方・木梨についても以下のように述べたという。
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「謙遜でもないよ。自分で分かるじゃん。自分の資質って。木梨憲武のほうが資質は上なんだよ。あいつの方が、これから10〜20年したら、すっごいスーパースターになる。俺にはそれがないんだよ。アイツはそれ以上を求めていかないから、今、フラフラしてるけど(笑)、資質を自分でちゃんと考えて『よし、いってやろう!』って考えたら、あっという間にナンバーワンになってると思う」
そのうえで石橋は、自分の未来についても言及。
「あと数年したらイタリアに行って、イタリア料理でも勉強してこようかって思ってるんだよ。(中略)料理って客前でネタをやって受けるのと一緒でライブ感じゃん? 目の前で調理して食べてもらって、おいしいって言ってくれるっていうのは、ライブでネタをやってウケて気持ちいいのと一緒かな」
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基本、当たり前だが、私ら一般人は石橋貴明という人間をテレビやラジオでしか知らないわけで、そこで大半が抱く彼のイメージは「我が儘」「傲慢」「傍若無人」……あたりなのではなかろうか。
そんな石橋がこんな達観した哲学を、あと、こんな冷徹な、まるでゴルゴ13張りに「自己を第三者的に見つめる」観察眼を持っていたとは、正直言って驚いた。
そりゃあ、年齢を重ね、試行錯誤のすえ辿り着いた“とりあえずの結論”ってのもあるかもしれない。が、いくら「年齢を重ねた」とはいえ、ここまで突出した客観性を持つまだまだ50代も、そうザラにはいない……と私は思う。そして、このように研ぎ澄まされた“最大の武器”をこれまで「我が儘」「傲慢」「傍若無人」……の皮を被り、隠し続けてきた石橋のしたたかさには、僅かながらの戦慄さえ覚えてしまう。
おそらく『みなさんのおかげでした』終了が決定した段階で「もうちょっと素を出してもいいころかな?」と、自身で“判断”したんだろう。すなわち、これからの石橋貴明には要注目……ということだ。