ホテル代タダを要求したユーチューバー…彼らに圧倒的に不足しているのは「プロ意識」

22

2018年01月26日 01:00  citrus

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

citrus

写真

『HUFFPOST』によると、YouTubeで9万人以上のフォロワーを持つイギリス人女性のエル・ダービーさんが、アイルランドの一流ホテルにタダで宿泊させてほしいとメールで依頼したことが、大きな騒ぎとなっている……らしい。詳細を説明してみよう。

 

ダービーさんがアイルランドのホテル『The White Moose Cafe』に送ったメールは、自身のYouTubeとインスタグラムを通じてホテルの宣伝に協力するので、無料で宿泊させて欲しいという内容。

これに対し、ホテルのオーナーは「親愛なるソーシャルメディアインフルエンサー様」と題したコメントとともに、彼女のメールの画面キャプチャーを(ダービーさんの実名は隠して)Facebookに公開。加えて「もしあなたを無料で泊めてしまったら、誰が人件費を払うのでしょう?」「今後も、ホテルに泊まる際には、他のお客様と同じように宿泊料を支払うことをオススメします。(後略)」「追伸、お返事はNOです」と綴った。

 

……と、ここまでの経緯をなぞって、まず私が驚いたのは、このアイルランドにあるホテルの対応を受け、「あなた方(ホテル側)のほうがビジネスをわかっていない」「そんなにこき下ろすなんてひどい」……ほか、少なからずの非難の声があがったという事実。さらには、問題の発端となったメールを送りつけた張本人(ダービーさん)も、

 

「一度にこんなに感情が押し寄せたことはない。私は、怒っているし、悲しい、動揺しているし、不安になったし、気まずかったし、バカにされていると感じた」「私がホテルのオーナーに申し出たことは、ブロガーだったら普通のこと」「(タダで泊めてもらうだけではなく、むしろ)報酬をもらうのが普通だし、彼はホテルで働いているんだからそれを知っているはずよ」

 

……と逆ギレする始末。それに呆れ果てたホテルオーナーは「今度、うちの施設は一切ブロガーお断りです」と締めくくった……のだそう。

 

つい先日、私はここcitrusで、

 

Googleが、(傘下とするYouTubeの)広告掲載基準の根本的な変更として、これまでは視聴回数1万回に達すると広告を付ける基準を設けていたが、2月20日以降は「登録者数1000人以上」と「過去1年で4000時間以上の視聴時間」の2つを満たすチャンネルでなければ、広告は付かない仕組みとなることを発表した。

 

といったニュースについて言及するコラムを寄稿し、「Googleさんのおかげで、やっと素人同然の“なんちゃってユーチューバー”が、ちまたから消滅してくれる」と、ホッと胸をなで下ろしていたばかりなんだけれど、こういった“勘違いしている阿呆”が、それどころかその阿呆を擁護する阿呆が、こうやって現存しているとは……本当に「ホッと胸をなで下ろせる」のは、まだまだ先の話なんですな……。ガク〜!

 

万一、ホテルとダービーさんとの闇交渉が成立しちゃってたら……コレって、ステマじゃないの? YouTubeってステマはアリなんだっけ? しかも、フォロワー数9万人って!? その程度のフォロワー数で、きちんとしたアポイントの段階も踏まずに、いきなり「タダで泊めろ」とメールを送りつけるなんて……非常識も甚だしいし、完ペキにユーチューバー、ブロガーとしての自分の社会的影響力をも見誤っている。出版業界では絶対にあり得ない無神経な“営業手順”である。

 

たとえば、なんらかの相当に名が売れた情報雑誌(ブルー○スとか?)が、どこだかの飲食店を誌面で紹介するために取材依頼をしたとする。そして、写真撮影のため何品かの自慢の料理をつくってもらったとする。そんなときのやりとりですら、通常は

 

雑誌側「この料理全部でおいくらですか? お支払いしますので…」

お店側「いやいや、お題はけっこうですから…」

雑誌側「いやいや、そーいうわけにはいきませんよ!」

お店側「いやいや、雑誌に書いて宣伝していただくわけですから。今回はサービスってことで…」

 

……みたいな流れで、その後「そーなんですかぁ…。じゃあ遠慮なく」とちゃっかりご馳走になってしまうか、「いやいや、お金を払わなければ、こっちも好きなことが書けませんし…」と頑なに“サービス”を拒絶するかは、ケースバイケース、人それぞれだったりするが、いずれにせよ、上記のような忖度風なキャッチボール(※「忖度」の使い方、合ってます?)を作り笑顔で繰り返しながら、事はなし崩し的に“決定”していくのだ。

 

なにも出版業界の“常識”がすべて正しいと言っているわけではない。しかし、どんなかたちであろうと、誰かから合法な段階を踏んで金をせしめたいなら、せめてビジネスマンとしての最小限なプロ意識、人としての最低限な礼儀……みたいなものは、過去の斜陽メディアからでも学んでみるべきなのではなかろうか?

このニュースに関するつぶやき

  • 「私が泊まって宣伝してあげるって言ってんのになんでタダにしないわけ!?」ってか(笑)勘違い甚だしいな。相手からオファーされてから言えっての。
    • イイネ!2
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(16件)

ランキングIT・インターネット

前日のランキングへ

ニュース設定